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なでしこ(カワラナデシコ)

2011年7月18日、日本中が喜びに包まれた日。「なでしこジャパン」が世界一とは、誰でも驚き感動しました。その行動は大震災を受けた日本人を励ましました。日本の女子代表のサッカーチーム「なでしこジャパン」がワールドカップのチャンピオンに輝くと「なでしこ」の名が世界中に知れ渡るようになりました。開催地ドイツでは「なでしこ」とはどんな意味か外国のプレスから多くの質問が日本人にあったといいます。
カワラナデシコ(ススキ野ゾーン)

ススキ野ゾーンにはクズを除いて秋の七草が植えられています。これら七草が秋に揃って咲けばいいのですが、なかなかそうはいきません。ナデシコもキキョウと同じく、かなりの早咲きです。茎は80センチほどになりますが、斜めに傾き、弱々しい感じです。「なでしこ」と呼ばれますが、正式の和名は「カワラナデシコ」です。かつて人里近い草原はカワラナデシコの絶好の生育地になっていました。人間も「なでしこ」を大事にしてきました。もともと人間との結びつきが強い草花です。近年、草原(くさはら)が人里から姿を消していきました。草原が残っても、人間による草刈りが行われなくなり、その自生地や個体数を減少させてしまいました。

「なでしこ」の花言葉は「大胆・熱愛・純愛」。7月14日の誕生花で、この日生まれた女性は「ひかえめで、女性は年配者から気に入られる」タイプだそうです。しかし、「けっこう大胆な行動で周りを驚かせ」たりすることもあるようです。その意味で、「なでしこジャパン」のネーミングは誠にすばらしい。

同じナデシコ科であるカラナデシコ(漢撫子・セキチク)が古い時代に中国大陸から渡来しました。江戸時代後期、このカラナデシコとの雑種群から選抜改良された花弁の長い品種が珍重されました。本来の日本のナデシコはカラナデシコ(漢撫子)と区別するため、「大和撫子」と呼ばれるようになりました。江戸時代以降、清楚で控えめな日本女性を「大和撫子」と呼ぶようになりました。

ナデシコは「秋の七草」の一つです。日本人に寄り添い、その美的感覚や感性に爽やかな影響を持ち続けた花でもあります。茎が斜上しますが、花茎はすっくと直立します。辛抱強く、耐える草花なのです。性質は強く、粘り強く、それでいて清楚な花を咲かせます。この意味でも大和撫子と喩えられたのです。
 「なでしこジャパン」の大活躍がいまさらながら「ナデシコ」と日本人女性との絆の強さを印象づけた気がします。そんな「なでしこ」が今キャンパスで可憐に咲いています。

佐藤征男(記)

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