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薫風 散策

 

緑を次第に濃くするキャンパスの植物。生命活動が盛んな時期を迎えようとしています。散策していると、何か躍動感を覚えます。梅雨時のアジサイが咲くまでは、あまり目立つ花を見かけません。ところがです。目立たないだけで、よく見れば花は咲いています。

薫風が吹き渡る西キャンパス

西キャンパスの西側、岸田ロードに行ってみました。連休後にイチヨウやカンザンなどのサクラの花は終わり、新緑が輝くように纏っています。歩を進めると雑木林ゾーン。クヌギやコナラが主要な高木となっている林は新緑と相まって明るい雰囲気に充ちています。とてもキャンパスの中と思えない雑木林ゾーンは武蔵野の雑木林の雰囲気を今に伝える貴重な空間です。

岸田ロード 雑木林ゾーン

新緑の初夏から梅雨へ、キャンパスの花は一段落したようです。岸田ロードの草藪にノイバラが咲いています。樹木や草丈の高い草にまみれますが、花粉を媒介してくれる虫に目立つように頑張っています。

愁いつつ 丘に登れば はないばら  蕪村

思索を巡らしながらキャンパスを歩き、ノイバラに出会う。この季節しかありません。

ノイバラ 花は房咲き

よく見れば、様々な草花が咲いています。2,3紹介しましょう。

ムラサキカタバミはこの時期目立ちます。地下にかたまり状の塊茎(かいけい)ができ、大きな株になります。カタバミのなかまですが、花はカタバミよりずっと大形です。

ヘビイチゴは日当たりのいい路傍で生えますが、花が咲き、イチゴの実がつく頃はほかの草に覆われることが多いようです。すると茎が地面を這い、光を求めて光のあるところへ伸びていきます。

ムラサキカタバミ ヘビイチゴ

トキワハゼの花は4月から秋まで咲き続け、「ときわ」の名前の由来となっています。サギゴケに比べて花の大きさは小さく、注意してみないと分かりません。よく見るときれいな花です。

ニワゼキショウは直径1.5センチほどの小さな花を咲かせるアヤメのなかまです。アメリカ原産ですが、日本的な美しい花を咲かせます。最近よく見かけるようになりました。

トキワハゼ ニワゼキショウ

講義棟周辺の落葉樹が広がる道を歩きます。ここでは樹木があまり葉を広げてなくて、林床には陽光が届いています。ここで金色に光る草花を発見しました。キンラン(金蘭)です。この時期西キャンパスではキンラン、ギンランが観察できる場所がありますが、それらとは離れたところに生えています。

キンラン

雑木林の木漏れ日に照らされて輝くさまは「金蘭」の名にふさわしい輝きがあります。花の直径は2センチ程度で、明るく鮮やかな黄色の花を総状につけています。花びらは全開せず、半開き状態のままで、慎ましい感じもします。花びらのうち、唇弁といわれる下の花びらには赤褐色の隆起が見えます。訪れる昆虫のガイドマークとなっているのでしょうか。

キンランはありふれた和ランの一種でしたが、1990年代ころに急激に数を減らし、1997年に絶滅危惧II類(VU)(環境省レッドリスト)として掲載されています。 改めて我がキャンパスの自然の貴重さを実感しました。

鮮やかな黄色の花 唇弁には赤褐色の隆起が見える

生えている場所のすぐ近くに、自転車が数台置かれています。気づかずに踏みつけられそうです。作業班と相談して、簡単な柵で囲み、保護しました。

薫風吹き渡るキャンパス、発見の充ちた散策が楽しめました。

佐藤征男(記)
写真:施設課 坪谷英樹

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