前文 ここに顧り見るに、本学の創立以来学園は日進月歩益々繁栄の一途をたどってここに八十有余年の長い歴史の道を歩んできた。わが音楽部も本学と歴史を共にし、数十年の歴史を持つに到った。 当時の成立時に於ては、日本の音楽界は未だ揺籃期にあり、我が音楽部も若干の人々が僅かにその若き情熱を音楽芸術に傾け得たにすぎなかった。以来、徐々に発展して第二次大戦に到った。 この間の発展の状況は、つまびらかではないが部員の数は少数であり、器楽と合唱との両方を各人が楽しむというのが大勢であった様である。戦争によって部の活動は中断され数年間の空白が続いた。 戦後、国内に広く音楽が普及される様になり、本部もいちはやく立直って、その活動を開始した。この戦後の数年間においては、戦前の伝統が強く残って、合唱と器楽を共に探求するという傾向であった。 その後年一年、部員の数は増し、それと共に合唱、器楽を共にすることの困難さがいや増したのであった。それは合唱と器楽という各々のジャンルを深く広く探求しようとしたことの当然の結果であったといえよう。 現在では、合唱団はコールメルクールなる名称で演奏会に、コンクールにその名声を高めつつあり、又器楽も、一橋大学管弦楽団と名乗って同じく多彩な活動を行っている。 諸々の例を見るに、通常合唱団と管弦楽団とは独立に活動して居る。我々の中に、十分に成熟した両者を独立させようとする気運が生まれて来たのも、従って理由なしとしないのである。 しかしながら、わが音楽部の数十年の伝統は両者の協調を基本としているのであり、我々もその伝統を無視することは賢明なことではないと考えるのである。又、音楽芸術という共通の目的を持つ両団体が、より高き立場で協力し、各々の目的により近づくことはより良い行き方と考えるのである。 ここに、我々は各々に独立して各分野を追求しながら、なお且つ伝統にのっとり協調体制を維持することを決意した。ここに一応従来の一橋大学音楽部を発展的な意味において解散し、再びあらためて新しい連邦制的な性格を持つ一橋大学音楽部を結成することにした。 昭和三十二年十月七日 一橋大学音楽部部員総会 一橋大学音楽部規約 総則 第一条、本部は一橋大学音楽部と称する。 第二条、本部は事務所を一橋大学内に置く。 第三条、本部は音楽を通じて教養を高め、技術の向上を目指し、部員相互の親睦をはかり、学生生活を楽しく豊かにすると共に、併せて本学の発展に寄与することを目的とする。 第四条、本部は前条の目的を達成するために、左の事業を行う。 1.部員相互の親睦のために必要な事業 2.音楽に関する共同研究及びその結果の発表会の開催 3.その他前条の目的に沿うと考えられる諸事業 構成 第五条、本部は「一橋大学コールメルクール」及び「一橋大学管弦楽団」よりなるが、実際の構成員は両団体を代表する委員であって、総会は改正の時のみ必要とする。 第六条、両団体は各々独立した委員会を別個に持ち、本規約に反しないかぎりで自由な規約を持って活動することができる。 機関 第七条、本部は左の機関を置く。 1.部長 2.委員長 3.委員会 4.会計 第八条、部長は本部の相談役である。 第九条、委員長は本部を代表する最高責任者であって、委員の互選によって選ばれる。任期は一年とするが重任を妨げない。 第十条、1.委員会は本部の最高の意志決定と執行の機関である。 2.委員会は両団体の会計、渉外、技術責任等の任務を持った者によって構成される。人数は各々四名とするが、これは固定された者でなければならない。 第十一条、本部の実際の活動に際して、委員会は必要な臨時委員を設けることができる。 会計 第十二条、会計委員は委員の中より互選され、本部の財政を管理し、年度末に於て委員会に会計報告をしなければならない。又委員は定期報告以外にも会計報告を要求できる。 第十三条、本部の収益は両団体間での折半を原則とする。但し両団体の合同演奏会などにおいては売上額に応じて、純益を比例配分することを原則とする。なお分配率は、そのつど事前に委員会によって確定される。 第十四条、会計年度は七月一日に始まり、翌年六月三十日に終る。 渉外 第十五条、両団体が独立に活動する場合でも、互いに連絡をとるべきものとする。 特に音楽部の名に於て渉外に当る場合には必ず委員会の事前の承認を得なければならない。 備品 第十六条、両団体の部室及び備品は責任者の承認を得て全団員が使用できる便宜を与えられる。 改正 第十七条、この規約の改正は委員会の発議により両団体各々の出席団員の三分の二以上の賛成を必要とする。ただしこの改正の為の会合は両団体各々の団員の三分の二以上の出席をもって成立するものとする。 附則 第十八条、本規約は昭和三十二年十月七日に発効する。