生命保険業界の現状と展望

 

講師 第一生命保険相互会社代表取締役社長

斎藤 勝利 

平成18年7月11日 於:如水会館

【無断転記転載を禁ず】

社団法人 如 水 会

責任編集

 




◆内容目次

はじめに

生命保険の役割

第一生命のプロフィール

生命保険販売を取り巻く環境変化と動向

お客さまの変化

競争環境の変化

生保市場の変化

第一生命の営業戦略

機関投資家としての生命保険会社

生命保険会社のプレゼンス

資産運用環境の変化と資産運用の変遷

第一生命の資産運用戦略

おわりに

第一生命の業績

第一生命におけるCSR経営

生保業界の今後の展望

講師略歴


はじめに

 本日は「生命保険業界の現状と展望」というテーマでお話しします。生命保険業界にはあまり馴染みのない方もいらっしゃると思いますので、まず初めに生命保険の役割や、当社の沿革についてご紹介し、その後、生命保険業界を取り巻く環境や現状、今後の展望について、販売面、資産運用面に分けてお話します。

 まず、生命保険事業の役割と当社のプロフィールを簡単に紹介します。

生命保険の役割

 生命保険は多数の人が集まって掛け金を出し合って、お互いのために保障を提供するという相互扶助の仕組みで成り立っています。現在1年間に民間の生命保険会社から支払われている死亡保険金は、平成16年度で約3兆2千億円です。1日当たりに直すと約90億円近くの死亡保険金がご遺族に届けられ、その後の生活の安定に役立っています。生命保険事業は、国民の生活保障において社会保障制度と両輪をなす高い公共性を担っているということです。

第一生命のプロフィール

 当社のプロフィールを簡単にご紹介します。第一生命は1902年、創業者矢野恒太によって日本で初の相互会社組織の生命保険会社として設立されました。お陰さまで、今年の9月で創業104周年を迎えます。当社が設立をされた頃、すでに設立されていた生命保険会社は多数あったわけですが、いずれも株式会社形態でした。当社は日本で最初の相互会社組織の保険会社であることから「第一」とされました。相互会社は、契約者一人一人が会社の構成員となって、剰余金のほとんどを株主ではなく構成員、つまり契約者に還元する会社です。当社は「わが社の主人公は保険契約者である」ことを創業当初から表明し、主人公は株主ではなく契約者という意味で、「ご契約者第一主義」という経営理念を掲げ、当時としては非常に特色のある相互主義経営を推し進めてきました。


生命保険販売を取り巻く環境変化と動向

お客さまの変化

 生命保険の販売を取り巻く環境変化について最初にご説明します。

 まず、生命保険のマーケットが大きな影響を受ける人口構成の変化です。わが国では1947年から49年、昭和22年から24年の第1次ベビーブームに生まれた、いわゆる団塊世代が一大マーケットを形成しています。1970年代には、この団塊世代が20代であり、家族のために入る死亡保障の中核層として、生命保険会社の業績の安定成長を支えてくださいました。1990年代には、団塊世代が働き盛りの40代に達するとともに、そのお子さんたちである1971年から74年の第2次ベビーブームに生まれた団塊ジュニア世代の方々が20代に達して、生命保険事業も大いにフォローの風をいただきました。しかし、その団塊世代は今や間もなく定年を迎える50歳代後半です。一方で、2005年度の出生数は団塊ジュニアのおよそ半数の106万人と少子化が進み、この人口構成の変化にいかに対応するかが私どもの生命保険事業にとって極めて重要な課題となっています。

 また、男女とも未婚率は上昇しています。国勢調査によれば、今の男性は20代後半で7割、30歳代にあっても4割を超える方が独身です。女性の未婚率も同様に高まっており、従来の「それなりの年齢になったら結婚して家庭を築く」という家族像が変化し、男女とも晩婚化、非婚化が進んでいます。

 家族形成も変化しています。団塊世代の方は20代も後半になれば結婚して家庭を持ち、30歳を過ぎた頃には子どもを持つ父親になっていった方が多く、30〜34歳の男性の約7割は父親でした。つまり30歳を過ぎたお客さまには家族のための保険である死亡保障がほとんどのお客さまのニーズに合致していた時代だったと言えるかと思います。ところが、団塊ジュニアで父親になっているのは僅か4割です。30歳を過ぎた男性にも死亡保障のニーズがある方、ない方、お客さまのニーズはさまざまとなっています。

 就業状況も変化しました。総務省の統計によると、アルバイトや職を持たない男性、つまり正規雇用されていない男性が多くなっています。20歳前半で3割超、20歳後半で2割、30歳前半で1割超の男性が正規雇用されていない状況です。女性の就業状況について見ると、団塊世代の女性が20歳代後半だった頃の女性の雇用率は約2割でしたが、団塊ジュニアでは既婚女性の4割がすでに仕事をお持ちです。女性の社会進出の進展を考えると、今後もこの傾向が続くことが見込まれます。

 これまで見てきたように、高齢化によって40代後半以上の方、いわゆるミドルシニア層のお客さまが増加し、自らの老後を見据えた医療、介護、年金といった生存保障へのニーズが高まっています。また20代から40代前半の世代についても、晩婚化や少子化による家族形成の変化、就業状況の変化等により、自分のための保険である生存保障に対するニーズが高まるなど、お客さまのニーズも多様化しています。

 お客さまの意識に話を移します。現在少子高齢化や財源の問題から、医療、年金、今後の社会保障制度が見直しの方向にありますが、これは自助努力の必要性が高まることを意味しています。金融広報中央調査委員会の調べによりますと、老後の生活を非常に心配している方が約4割、多少心配している人まで含めると、8割超の方がご自分の老後に対する不安を抱えています。心配理由のトップは、「年金や保険が十分ではないから」となっています。

 公的年金に対する意識について見てみると、60歳未満の方で「日常生活が賄えない」と思う方が6割もいます。一方、「不自由はない」と思う人は僅か3%です。これだけ多くの方々が公的年金では足りないと不安に感じておられ、このようなお客さまの不安を解消することが私ども生命保険会社に求められています。公的医療保険についても不安は増大しているようです。サラリーマン男性の8割が医療費の自己負担に不安を感じています。しかも、以前と比べて医療費を保険で賄えると思う人は減少し、賄い切れないと思う人が6割と増えています。

 お客さまの変化についてまとめると、少子化、高齢化が進むなか、お客さまのライフスタイルとニーズは多様化しています。また、社会保障制度はスリム化の方向にあり、自助努力の必要性が一段と増大、人々の不安も増大し、医療、介護、所得保障などの生存保障、年金等の老後生活保障に対するニーズが高まっています。

競争環境の変化

 まず規制緩和についてご説明します。生保と損保には従来、業際規制がありましたが、保険制度改革によって、1996年に子会社方式による生損保相互参入が可能となりました。当時損保各社は生保子会社を設立して、当社をはじめとする生保各社は、損保子会社を設立しました。医療、介護などの第三分野については、もともと大手生損保には第三分野商品の販売は認められていなかったわけですが、日米保険協議を経て、2001年1月に子会社による相互参入が、その年の7月からは本体による参入が可能となりました。銀行・証券の保険販売についても規制が緩和され、1998年12月には証券会社、2001年4月には銀行で保険販売が解禁され、変額年金などを中心に実績は一貫して右肩上がりで成長しています。今後も高齢化社会の進展などによって銀行や証券会社による貯蓄性の保険商品の販売は進展することが予想されます。このような規制緩和は、生命保険業界では取扱商品や販売チャネルの多様化につながりました。

 また、生保業界では数年前まで、長引く超低金利と株価や不動産価格の低迷で運用収益が一段と悪化したことなどを背景に、他の金融関連業態ほどではありませんが、合併した会社、持株会社方式による連合などの事例が見られました。金融不安によって1997年の日産生命を皮切りに国内社7社が破綻して、外資系による買収などにつながりました。

生保市場の変化

 このようなお客さまの変化、競争環境の変化を受け、生命保険市場も変化しました。まず死亡保障額の積み上げである保有契約高の推移を民間生保全体で見ると、1997年3月末の約1500兆円をピークに減少トレンドが続き、2005年3月末においては約1100兆と、8年間で4分の3となっています。この傾向は先程説明した人口の減少や高齢化、ライフスタイルの変化を受けて、今後も続くと予想されます。

 医療、介護といった第三分野では、死亡保障の落ち込みを背景に、主契約に付加する第三分野特約の新契約、保有が減少しています。一方で、単品としての医療などの第三分野単品は、新契約の件数、保有件数、共に増加しています。これは、日米保険協議で2001年に自由化され、商品の多様化などによって競争が活性化した影響が大きかったと言えるでしょう。今後もこの傾向は緩やかに継続するものと見込んでおります。

 生命保険業界が今後期待する分野の一つは貯蓄系の商品です。個人金融資産1500兆円の争奪はさらに熾烈を極めます。2002年の10月から銀行における変額年金などの販売が開始されていますが、銀行を中心に販売されている変額年金の件数は2002年の17万件から2004年は約43万件まで伸びています。

 当社のことを若干紹介させていただきますと、銀行窓販、貯蓄市場への取り組みの強化について先日発表させていただきましたが、現在当局の許認可等を前提に、業界で初めて、百パーセント出資の生命保険子会社の設立を計画しています。第一生命と新会社がこの代理代行契約を締結することによって、この子会社は生命保険商品の開発とか引き受けに特化します。販売は第一生命の本体が行ないます。

 新会社は来年4月の開業を予定していますが、新会社によってお客さまニーズに適合して、銀行・証券会社等の特性に応じた競争力のある商品を柔軟に供給し、成長市場である貯蓄市場への取り組みを加速していくのが狙いです。

第一生命の営業戦略

 ここからは具体例として、当社の取組みをご紹介させていただきます。

 当社では、これまで見てきたような環境変化に対応していくには、従来の価値観を一新する必要があると考え、新たな戦略の構築を行い、創立95周年の1997年に生涯設計というコンセプトを新たに打ち出しました。生涯設計とは、お客さまにご自身の一生涯を思い描いていただいて、各年代のリスクを把握し、生活設計をしていただくことです。この生涯設計という考え方がないとすると、死亡保障に加えて、そのときどきのニーズに応じて商品をプラスしていくという、散発的で状況対応型の取り組みになってしまいます。生涯設計という考え方によって、一生涯に起こり得る生活設計上のリスクを、お客さまと会社があらかじめ認識することによって、足らざる部分が明確になって、適宜適切な商品の提案につながると認識しています。

 具体的な運営としては、これまでの保障中核層への死亡保障中心のご提案から、さまざまなセグメントのお客さまニーズに応じた市場戦略を構築してきました。

 商品面では、セグメント毎のニーズに応じて生涯設計をしていただくためのラインアップを整備しています。例えば、従来メインの保障としていた死亡保障に加えて、3大疾病や所定の身体障害状態、所定の要介護状態となった場合に、以後の保険料の払い込みが免除される保険料払込免除特約を業界で初めて、またミドル・シニア層向けの終身医療保険を大手他社に先駆けて発売する等、豊富なラインアップを揃えました。

 加えて、私どもが現在注目しているのは、ディサビリティ、即ち就業不能への保障です。病気や怪我などによって障害や後遺症が残って、その結果長期的に収入が減少ないしは途絶する場合、経済的には死亡に比べてむしろ厳しくなるという状況があります。しかし、実際には民間生命保険会社における障害関係の保険金は、死亡保険金の約7%程度にとどまっています。一方で、公的年金の場合、障害年金が死亡保険金の3分の1に達しており、まだ民間生命保険の障害関係給付は手薄く、さらにこの方面に力を入れていく必要があると考えています。

 生涯設計戦略を推進していく上で、幾つかの重要な経営判断を行いましたが、ここでは、その後の当社の経営にとって決定的なインパクトを与えることとなった損害保険ジャパン、アフラックとの提携戦略をご紹介します。当社では、1996年の規制緩和による生損保相互参入を受け、損保子会社を設立しましたが、競争環境が一段と厳しさを増し、損保の大手会社に見劣りをしない商品、サービスの高度化を図るために、抜本的な事業モデルの変更と体制の強化が求められていました。このような状況下、私どもは業務提携という経営判断を行ないました。損害保険事業については損害保険ジャパンとの提携により、大手として競争力を有する損害保険を生涯設計の重要な要素の一つとしてお客さまに提供することとしました。がん保険については圧倒的なブランド力、競争力を持つアフラック社から当社が唯一商品供給を受け、生涯設計をより充実させました。これは、自前主義にこだわるのではなく、当社のコアコンピタンスである生命保険事業に集中し、コア以外の分野である損害保険やがん保険は柔軟にアウトソースすることが生涯設計の完成にはむしろ近道であり、お客さまの支持を高め、競争力強化につながると判断したためです。

 このように、当社は、環境変化に対応する営業戦略として生涯設計を推し進めてきましたが、今後も引き続き一生涯のパートナーたるべく、お客さま1人お1人にとって理想の生涯設計を追求していきます。


機関投資家としての生命保険会社

生命保険会社のプレゼンス

 ここからは機関投資家としての生命保険会社というテーマで話します。

 日本の生命保険会社は、金融機関全体の総資産の約1割を占め、銀行に次ぐ第2位の規模の金融機関です。なお、当社は、日本の金融機関全体で8位、生命保険会社の中で第2位の資産規模となっています。

 生命保険会社は金融機関全体で保有している国債の約1割を占める機関投資家であるとともに、株式保有残高では、金融機関全体の約4分の1を占め、銀行に次ぐプレゼンスを持っています。なお、当社における2006年3月末時点の公社債保有額は、簿価ベースで第5位、国内上場株式の保有残高では、昨年9月末時点で、時価で約5兆円、金融機関全体で第3位となっています。

資産運用環境の変化と資産運用の変遷

 続きまして、わが国の生命保険会社の資産運用の歴史を振り返ります。

 生保における資産運用を語る場合、生保資金の特性を考慮する必要があります。生保の資産運用は、安全性に加え、配当を支払う上での収益性の追求、さらに保険金支払いに備えた流動性の維持、の3点に十分配慮しなければなりません。

 国内生命保険会社の資産構成の推移を見ると、バブル前は、貸付などの確定利付資産をポートフォリオの中心として予定利率を確保しつつ、株式などのリスク性資産を適度に組み入れて収益性の向上を図る、比較的健全なポートフォリオの運営がなされていました。80年代後半、バブル経済に突入すると、個人保険分野での販売競争が激しくなってきました。一方で、市場金利が低下してきたので、結果的に過度に高い予定利率を設定することによる保険料の割引競争が起こってきました。このため、確定利付資産のウエイトを落とし、相対的に期待リターンの高い株や外国証券に重点投資を行って、リスクの高いポートフォリオに傾斜していきました。しかし、先程の生命保険における運用の原則に照らしてみると、この時期は安全性より、高い予定利率をなんとかカバーしようと、収益性に重点が置かれ、結果として、リスクの高い歪んだポートフォリオになっていったと言えると思います。

 90年代に入ってバブル経済が崩壊すると、株価の急落、為替の円高進行も重なり、生保は株式、外国証券投資において多額のキャピタル損失に見舞われました。さらに株式含み益の枯渇などによってリスク性資産を多く保有するだけの経営体力がなくなってきました。このため、リスク性資産のウエイトを下げるとともに、再び安全性を重視した確定利付資産中心のポートフォリオに回帰していきました。現在も引き続き確定利付資産をポートフォリオの核としつつ、分散投資によるリスク・コントロールと収益の安定性を重視したポートフォリオとなっています。

第一生命の資産運用戦略

 このような環境の変化は当社にも少なからず影響を与えました。このような厳しい環境から学んだ教訓は徹底したALM、つまりAsset Liability Managementとリスク管理の必要性です。

 ALMとは、簡単にいうと負債サイドの特性、即ち調達期間、コスト、流動性などと、資産サイドの特性、即ち運用期間、リスク・リターン、流動性などを十分勘案して、負債と資産がミスマッチを起こさないように運営することによって、安定的に予定利率を確保して収益を上げていく手法です。

 そもそも生保の負債は、お客さまからお預かりする保険料の集積ですが、期間、流動性、コスト、そのどれをとっても他の金融機関とは異なる性格を持っており、生保独自のALMが必要となります。これらの負債特性を踏まえて、当社では1990年からALMを推進しています。中長期においてリスクをコントロールしつつ、剰余の拡大を追求すること、これが当社の運用の最大の目的です。そのための2つの大きなプロセスとして、生保特有の負債特性を踏まえたALM運用力の強化と、ショートフォール・リスク・アプローチによる基本ポートフォリオの構築が挙げられます。

 日本では保険商品の多様化、商品特性に応じた資産運用の必要性等から、アメリカと同様、商品ごとの区分経理を行っています。区分経理とは、簡単にいうと、負債特性の異なる商品ごとに内部的に会計を区分することです。当社では区分経理の導入に対応して、商品ファンドごとに負債、商品特性に応じた最も効率的な運用スタイルを選択し、運用を行っています。そして金融工学的な手法を活用して、各ファンド別にショートフォール・リスク・アプローチによる基本ポートフォリオの構築を行っています。当社では、このショートフォール・リスクを剰余水準がマイナスになるリスクと定義しています。このリスクのコントロールを念頭に入れつつ、リスク、リターンにおいてバランスのとれた最適な長期基本ポートフォリオを商品ごとに策定して、それに基づいた運用を実施しています。


おわりに

第一生命の業績

 ここで、若干当社の業績について触れさせていただきます。当社の保険料等収入は、約3兆4千億円、保険金等支払は約2兆8千億円となっています。先程、民間生命保険会社から1年間にお支払いしている死亡保障金が約3兆2千億に上ると申し上げましたが、当社では年間で約5100億円の死亡保険金をご遺族にお支払いしています。

 また、保険本業における期間収益を示す指標である基礎利益は事業の選択と集中、コスト効率の向上に向けた取り組みを通じて増益トレンドを継続しており、平成17年度末で約4700億円と、平成12年度の開示以来、最高の水準に達しています。

 社外からの評価という点では、来年3月卒業予定の学生を対象とした各種の就職人気ランキングにおいて、国内大手生保で初めてとなるインターンシップの効果などもあり、当社は前年度を大きく上回る結果を得ることができました。

第一生命におけるCSR経営

 最後に当社が取り組んでいるCSR活動です。CSRとは、一般的に「企業の社会的責任」と訳されており、企業が事業活動を行うに当たって、利益の獲得を目指すだけでなく、企業のさまざまな社会的な側面にも配慮して経営を行う必要があるという考え方です。

 当社が目指すCSR経営には、先にご説明した相互扶助の仕組みを中核とする「生命保険の社会的役割」が原点にあります。当社ではお客さまの大切な生活によりよいコンサルティングを提供し、最高水準の商品とサービスを迅速にお届けするという生涯設計と、社内のあらゆる業務をお客さま本位の視点で見直し、常に経営の質を高めることに挑戦し続ける経営品質向上活動によって、経営基本方針である「社会からの信頼確保」、「最大のお客さま満足の創造」、「職員・会社の活性化」を実現することを、私どものCSR経営として実践していきます。社内では、昨年度、私を委員長とするコーポレート・ブランド向上委員会を立ち上げ、「ご契約の入口」、「ご契約期間中」、「ご契約の出口」、それぞれのお客さまとの接点業務について、お客さまの期待されるレベルに対して当社の取り組みの現在位置を把握し、足らざる部分を会社をあげて引き上げていく取り組みを開始しています。

 本来コーポレート・ブランドというものは、お客さまや社会に判断していただくものですが、一方で明確な意思を持って戦略的に取り組むことでのみコーポレート・ブランドの向上が達成されるものと考え、こうした取り組みを行っています。なお、このコーポレート・ブランドの考え方については、一橋大学の伊藤邦雄先生にもご指導をいただきました。

生保業界の今後の展望

 最後に、生命保険業界の展望についてお話します。少子高齢化を背景に社会保障制度の見直しが進むなか、その補完として生命保険が果たす社会的役割がますます高くなってくると思われます。お客さまのライフスタイルや生命保険に対するニーズが多様化するなか、商品面では、従来の死亡保障に加え、医療、介護、年金、就業不能などのマーケット拡大が見込まれます。販売チャネル面では、従来の営業職員チャネルに加えて、銀行、証券会社などの金融機関、通信販売などのダイレクト販売、ショッピングセンターなどに最近開設されている保険販売を行う店舗など、販売チャネルが多様化しています。その結果、保険業界のみならず、周辺業界も含めた競争がさらに激化することが予想されます。このような中、今後も当社は生命保険の社会的役割を自覚しつつ、お客さまから最も支持される生命保険会社を目指してまいります。

 以上「生命保険業界の現状と展望」というテーマでいろいろとお話をさせていただきました。ご清聴ありがとうありました。(拍手)


講師略歴

斎藤勝利(さいとうかつとし)

役職名
代表取締役社長

生年月日
昭和18年12月6日

出身地
東京都

最終学歴
昭和42年3月一橋大学商学部卒業

職歴
昭和42年4月第一生命保険相互会社入社
平成1年4月国際企画部長
平成3年4月調査部長
平成6年7月取締役調査部長
平成7年10月取締役企画・広報本部長兼調査部長
平成9年4月常務取締役
平成13年4月専務取締役
平成15年4月代表取締役専務
平成16年7月代表取締役社長