商大生活、それは自分に取りて内面的闘争の歴史である。失敗し反省し、奮起、これから先自分 はこの過程を何回繰返すことであらうか。
（茂木 利孝）
商大生活六年間、終始眞摯なる學生々活を送り得たことを喜ぶ。
（渡部 祐一）
六年間の商大生活も終らんとして其の生活を回顧すれば、劍道と尺八。竹の如く直く生き度いと 思ふ。卒業後は山の中で力強く生きる心算だ。
（吉田 益造）
ひたむきに進み來し六年を顧みて漸く學びそめし己を思ひ、はてしなき學びの道のはるかなるを 畏敬と歓喜の想ひを抱きてなほも歩みつゞけん。
（山崎 昶）
卒業にあたつての感想！といつて私は唯々長い間の學生生活を楽しんで來たゞけです。これから ずつと豊な気持で生活する事が出來るでせう。
（村山 正七）
山に憧れて、早や六年の歳月は流れた。山は樂しかつた。しかしそれにもまして悲しく、亦苦し かつた。それでも山岳部の生活は私にとつて何にもまして樂しい思ひ出である。誰がキャンプファ
イアに照らし出された同志の顔を、そして共に歌つた山讃賦を、忘れることが出來ようか。
（宮城 恭一）
過ぎ去りし六年、そこに私は限りなき哀惜と思ひ出を持つ。
いつの日にか終る私の人生行路、そこに私は限りなき使命と希望を思ふ。
強く生きなければならない。
（光永 八太郎）
（松岡 義彦）
過去六年間、我々を育てし學園に感謝す。
（藤本 泰弘）
六年間に果して如何なる成果があつたのか、思ひかへせば心苦しい。しかも緊迫した時勢は卒業 間際の私共に十分の勉強をさせてくれはしない。落ちついた時代の近からむ事を秘かに願はざるを
得ない。
（林 秀勇）
一、類を以て集る――惡友共の深き友情に謝す。
二、高橋助教授の一言「破れて悔ゆるなき奮闘をこそ望む」肝に銘じて忘れず。
三、クソ！！ジョンブル奴何日かシンガポール埠頭に日章旗を立てゝやるからな。
（中牟田 研市）
最も賢い處世術は社會的因襲を輕蔑しながらしかも社會的因襲と矛盾せぬ生活をするにあるさう な、併し矛盾しないだけですむだらうか、時には芭蕉以て抱擁し時には一茶以て吹き飛ばさねばな
らぬだらう。
（中世古 清忠）
ホッケー生活六年、スティックを持つてグラウンドを走り廻ること實に数千里。愉快だつたこと 、悲しかつたこと之すべてなつかしき思ひ出となるのみ。
閑話休題すべてが常に所謂學問とは縁遠いものであつた。それでいいんだよ。
（中島 義彦）
母校を去るに當り、唯感慨無量なり。未曾有の重大時局下、新しき社會への出發を思ひ、溢るゝ 許りの希望に燃ゆ。
（豐倉 爾）
學生といふ特権の蔭に色々の事を行つて來たが、いよいよ赤裸な社會生活に入る事になつた。進 む爲には退かねばならぬといふ、残された二ヶ月を更に深く一橋生活に沈潜させようと思ふ、人生
はこれからだ。
（都竹 憲太郎）
螢雪を重ねて
待ちし鹿島立ち
行く手の風波
物の數かは
（谷川 考）
日本は貧乏國であるが、物的資材は之を外國から輸入してでも國力を伸ばし得る。然し乍ら人的 資材である理論（學理）と技術は之を内に於て高度のものとしなければ國力の伸張は望み得ない。
此等三者はその一も缺く事は出來ないが、特に後二者に於て我々の依つて進むべき路を求め得られ ると信ずる。
（立川 長武）
卒業を前にしてしみじみ入學當時の記念寫眞を眺めて見た。どの顔もどの顔も若々しい希望と抱 負に滿ちて居た。
今我々はあはたゞしく月たらずの畸形兒として社會に出て行かうとしてゐる。然しこれも世界新 秩序建設の爲の尊い犠牲だ。今後どんな境遇にあつてもあの頃の若々しい情熱だけは失はずに暮し
て行きたいと思つて居る。
（瀬戸山 英太郎）
ボールを蹴りし六ヶ年の生活。幸なる哉！！われ蹴球生活に徹し得たるは。
（鈴木 英二）
しかるがゆえに、われも亦、感慨なからざるべけんや。
（新宮 徹也）
我々はいま大學生活に別れを告げようとしてゐる。だが、現在の事態を考へるならば之は眞實で はない。というふのは、“大學生活”そのものが我々と共に大學を去らうとしてゐるからだ。
（白井 太郎）
慌だしく過ぎ去らんとする學生生活。爲すべき事の多くして爲しし事の少きを思ひ學問の無限を 思ふ。
（貞廣 達次郎）
幸住むと人の言ふ櫟林にたてる塔。そはなつかしきわが郷心（オモヒ）この身に宿り、とこしへ に消えぬあるじとなりぬらん。
（佐藤 幸男）
學校生活六年間、武蔵野の惠れたる環境の中に運動に於けるファイティング、スピリット、學問 に於ける綿密さ、此だけを身に附けて裸一貫。
此を充分に活用する機會を得れば幸ひですが、學校ですくすくと今日の一人の人間に育ててくれ た事を感謝してゐます。
（佐々倉 政一）
長くして短かつた一橋學園の生活、回顧すれば思ひ出は盡きない、あの日、この時・・・・・・
遂に俺も卒業だ。聖戦五年豫科二の時に勃発した支那事變の解決も今後にある時、實社會に又兵 隊に張り切るかと思ふと武者振ひを感ずる。俺は六年間の籠球部生活で敢闘精神と人間の在り方を
習つた。張り切るぞ！！
（古田 土昌久）
十有九にして一橋の門に入り六星霜は夢の間たり卒業證書を前にして只一生の計を立つのみ“愛 と信念を以て邁進すべし”
（久野 瑞穂）
一橋六年間の生活良き友を得て樂しく過し得た、今一橋を巣立つに當り感慨無量。
ホッケー部生活の六年これこそ得難き生きた體験だつた。内外多事多忙の折柄大いに活躍しよう 、何處の地にあるも。
（北山 嘉彦）
毎年毎年同じ様に、又同じ数の學生が最後の學生生活を終へて社會に出て行く。私も同様に本年 社會へ出て行く。そして皆と同じ様に就職した。
客観的に見れば同じ川の流れの一滴の水に過ぎない。然し俺は俺なのだ。他人とは異るんだ。そ の點に於てこそ私は此の世に生れ出て生きてゐる喜びを感じ得る。
（唐澤 重人）
豫科の鐘は力強くて烈しかつたが、何か疵缺をおもはせた本科の鐘は軟いが圓くて明るかつた。
國立に一度は住んで見たいものだ。
（折下 章）
ユニフォームを捨てゝ實社會へ巣立つ悦びと希望と愛着と反省の交錯は不思議な双曲線を描く。 世界史の中に運命づけられながら、尚未完成の小鳥に、雨の日も風の日も温く育んで呉れた森の學
園は「さらば」と云ふ。
（大屋 哲）
何といふ惠まれた環境に育てられたことか。
他に言ふこと無し。
（岡口 滿洲男）
転換期の日本に住み、而もこの間を商大に送り、豊かなる生活を爲し得たことを喜んでゐる。顧 へば六年の生活も長いものではなかつた。けれども祖國の危機を身近に感じつゝ現在に最もよく生
きることを念願として、心の準備を整へ得たことを廣く一橋に感謝するのである。
（上野 富造）
將に學校を去らんとしてつくづく學生生活の氣輕さ樂しさが思はれ、學窓の愛情の念斷ち難し。
（鵜澤 昌和）
戰争といふ大きな潮流の中に生きて來た。そして間もなく生涯が開けんとして我々に色々の喜び と悲しみと、驚きと不安を齎すであらう。學園に代つて社會に生活の中心を求め活動の地を拓かん
として或ひは焦燥と失望が我々の生活面に迫るであらう。生活の中心を社會に見出すことが必要で ありそこに生活の充實も幸福も齎されるであらう。
（石井 直助）
小平にて三年、國立にて三年、想出深い中央線の風景にもお別れだ。角帽もすて間もなく丸之内 通ひのサラリーマンになり果てるのか、一寸憂鬱にならざるを得ぬ。豫科時代のボートの合宿で、
利根川の遠漕、向島の待合街の散歩、インターカレツジの想出が次々に湧いて來る。未だ學生時代 からお釣りが來る様な氣がしてならない。
（青木 尚一郎）
反省の場合はいつもさう思ふのですが、胸の中の咲くべき華未だ開かずして卒業する思ひがしま す。卒業後どんな世界が開けてくるかは知らないけれど眞面目にやりたいと思ひます。
諸先生、學友諸兄の一人一人を泛べてゆくと、感謝、友情の念を增すばかりです。
（阿曾 次郎）