7組 鈴木 茂 |
北海道に本店をおく銀行に勤務している関係上北海道の経済的特色(長所も短所もあるが)のアウトラインを紹介して道内への企業進出、取引の開拓、観光などにお力添えをいただく参考となれば幸甚である。 北海道の人口は約五六〇万で全国の約五%、面積は全国の二二%、人ロ密度は全国平均の五分の一である。端的に言えば人口の割には広大な土地があるということであり、今後日本経済の中でいろいろな役割を果していくための重要な資産でもある。 人口密度が小さい中にありて道都札幌は、既に一四〇万を超える人口を有し六大都市の中に入っている。.あと十年もすれば一八○万を超える大都市になることは間違いない。現在までのところ道内の人口増加の殆どを札幌で吸収している。都市機能が充実し緑の多い北欧型の都市だといわれているし、また昭和四七年に当市で冬季オリソピックが開催されたので国際的にも札幌の名前が知られている。只土地の値上がりが東京に次いで激しいことは難点である。 現在考えられている日本の中における北海道の役割は食糧基地、エネルギー基地、観光資源の活用、あるいは増加する人口を道内で分担吸収していくということであろう。 食糧基地としては広大な土地を利用する農業、牧畜業ならびに沿岸及び北洋を中心とする水産業である。一九八○年代の後半には世界的に食糧不足のおそれがあると言われているが、その時には北海道は重要な役割を果たすことになろうし、またそのためには今から食糧基地として環境整備を続けていく必要がある。 エネルギー基地としては既に苫小牧に石油の国家備畜、ならびに民間備畜工事が行なわれつつある。また石炭の集積センターも近く着工の見込みである。道内の石炭生産量は約一〇〇〇万トンー全国の約六割を占めるーであるが石油の代替エネルギーとして将来二〇〇〇万〜五〇〇〇万トンの海外炭の輸入に依存することになろうが、日本における石炭集積センターの一つとしての役割を果たすことになる。また遅ればせながら北海道電力の最初の原子力発電所建設の見透しがつきつつあるが、広い土地であるから適地はまだ有ることだろうし増設の可能性は大であると思う。 観光基地としては夏冬を通して広大な変化に富む観光資源があるので、開発の仕方如何によっては魅力ある観光基地づくりが可能である。ミニ開発或いは単なる商業開発では魅力あるものにならない。 北海道の産業構造は一次産業と三次産業に片寄り、二次産業の比重が小さい。このことは人口の吸収力が小さいことを意味し、全道の人口の増加が微々たるものに止まっている根本の理由である。北海道の新経済発展計画によれば今後十年間で主として二次産業の構成比を高めて、一〇〇万人の人口を吸収していくことになっている。 最近いすず自動車の苫小牧進出が決まったが、一万ヘクタールに及ぶ苫小牧東部工業団地にも漸く明るさが見えてきたと喜んでいる。目下地元官財界をあげて企業誘致に動いているので、皆様のお力添えをいただければ幸いである。 北海道の開発の歴史はまだ浅く、いわば発展途上の地域である。従って現在でも北海道の名目GNP(約十兆円強)の中に占める財政のウエイトは三〇%と高い。北海道の潜在資源を活用していくためには道路、港湾、空港など社会資本整備のための公共投資が必要である。目下進められている財政再建の方策によっては、道内への影響は大きいので地域の特殊性を考慮して貰うよう中央に要望しているところである。 北海道は北方圏諸国(カナダ・北欧など)との交流の中核的役割を果たしていくべく努力中である。現知事が音頭をとって進めているもので漸く緒につきつつある。いくつかの商談も具体化してきている。 以上雑駁なことを書いたが、私は一九八○年代の地方の財政は、北海道の時代であると考えている一人である。皆様の御健勝を祈ります。 |
卒業25周年記念アルバムより |