戦前の教育               5組 山崎坦
  小学校通信簿と中学校要覧

前記「受験票」の入っていた手箱に、次ぎの小学校通信簿や中学校の要覧が出て来た。
戦前の教育で如何に徳育が重視されていたかがわかる。
その教育の価値判断は別に論ずるとして、事実のみここに示す事とする。
戦前の日本は世界一治安の良い国であったことは間違いない。
また世界の人から礼儀正しい国民でお行儀が良いとされていたことも確かだろう。

小中学校は義務教育で、未成年者だったから、束縛規制が多く、先生(補導協会)も町に出て、非行少年を注意していたし、だいたい保護者(保証人)同伴でなければ行ってはいけないところがあった。映画館など。

大学予科に入ってから、成年者になり、♪「自由の砦、自治の城」♪と自由を謳歌した。
しかしマルクスを読んでいると特高に逮捕され、卒業まじかになると、大学生にまで遊興の制限が及んだ。
兵役の義務に服さねばならず、自由はなくなり、言論の自由はなく、自由主義者は逮捕投獄された。
北朝鮮、中国、ミャンマー、フセインのイラク、など独裁国を見れば、解るかな。
自由の尊さを真に知っているのは私共の年代なのである。


一番右の欄に「学科別」とあり、上から修身、国語 (読方、綴方、書方)、算術、國史、地理、理科、圖画、唱歌、体操、手工、
と、重要科目順と思われる、下に倍大の枠に「操行」とあり、この評価は別に等級で示している。
上の図は小学校を終わる六年生のものである。


次に示すのは 昭和六年度東京府立第四中学校要覧票の劈頭に掲げられているものである。

本校ノ教育
一、本校ハ中学校令第一條二基キ男子ニ須要ナル高等普通教育ヲ為スヲ以テ目的トス
二、本校ハ教育勅語ノ趣旨ヲ以テ精神教育ノ方針ト為シ生徒心得
十條ヲ設ケテ生徒行為ノ本領ヲ指示シ徳操ヲ磨礪スル標準
トス         

三、本校ハ中学校令施行規則條ニ基キ 修身.国語及漢文、英語、歴史、地理、数学、博物、物理及化学、図画、唱歌、體操、ノ諸学科ヲ教授シ以テ徳操、智識、技能ヲ修練ス
四・本校ハ常二體操武術、遊戯、遠足、旅行、郊外発火演習、水泳等ヲ課シ以テ生徒ノ身體ヲ発育鍛錬セシム

教授の教育方針
一、各学科固有の智識技能ヲ啓発スルト同時ニ常識ヲ発達し訓練と相俟チ品性ヲ陶冶スルコトヲ努ムベシ
二、
三、
四、
五、


以上 中学においても小学校と同じく徳育に重点を置いた。

大学予科受験に際しても、修身、操行、人格 即ち 徳育 に重点がおかれた。
それは証票に記載されている様に、学科試験に合格しても、口頭試問の際に、操行で落第させられる事があった。
思想問題で落第させられるのではなくて、品性が問題であった。