亡き夫を偲んで 4組 毛塚洋子

 

 去る1月11日主人が亡くなりまして8ケ月になります。家の中で転倒して頭部を切り入院してから1ケ月も経たない程でしたので只呆然としてしまい、後何を爲ていたのか解らず数ケ月過ごしておりました。今、少し落着いて見ますと、ああも、こうも、してあげれば良かったと悔やむことが多く、又昨年の今頃はこうして居た等と主人の手帳など眺めて思っております。丁度昨年の8月末の10日間程、イギリスに居ります息子の家族と娘も一緒にウェールズ地方を旅していたことを思い出しております。そして今思へばこの旅行の疲れが後にたまって身体を弱らせたのかしらと思います。でも十二月クラブの会合や碁の同好会、モーツァルトの会や音楽会等、休まず出席しておりました。その間には目の病院、腎臓の検査、心臓の検査等と病院へ通っておりましたし、プールも段々泳ぐ距離は減って来て、「今日は二百米きり泳がなかったよ」等と云っておりましたが月3〜4回は通っておりました。私も101才の主人の母の世話もあり余りよく見てあげなかったかと、今思いますと悔やまれてなりません。

 入院後順調に恢復して参りまして、お正月には歩く練習を始めることになり、運動靴も用意しておりましたのに、年が明けますと急に手足に浮腫が来て、あっと云う間の別れとなってしまいました。唯一つ主人への贈り物は、孫娘が、丁度倒れました12月15日にイギリスの音楽学校、ロイヤル・カレッジ・オブ・ミュージックのピアノ科に合格し、主人への手紙で、「おじいちゃんは、私の音楽の父です」と書いて呉れ、嬉しそうにうなずいていたことでした。生きていればこれから孫娘と音楽について、色々話をしたかったのではないかと思い残念に思っております。でも沢山の良いお友達に囲まれて、山登り、スキー、碁、音楽、旅行、水泳等楽しんで人生を送れたことで、本人も満足していたことと思い自分を慰めております。皆様本当に有難うございました。