51年 4組 岸 寿江 |
去年の誕生日に、孫の贈ってくれた竜胆が、今年又濃い紫の花を咲かせました。敬老の日の翌日が誕生日の私に、敬老祝を兼ねて毎年孫達が鉢植えの花を贈ってくれます。 今年は喜寿を迎えますので、敬老の日には子供達の家族総勢15名が集うことになっております。思えば51年前交通事故で突然主人が逝きました時、幼い3人の子供を残されて、生きる術さえ分らなかった私が、今日、この日を迎えられることなど思ってもみないことでした。51年経た今も私の心の中には、若い時そのまゝの主人が生きております。いつも主人に、子供が病気などしないように、よく勉強するように、堂々と社会に出て真面目に働いて欲しい、そしてよい家庭を築いて欲しいと、ひたすらに願い続けてきた51年でしたが、長いようであっという間に過ぎてしまったようにも思えます。 主人が生きていれば物質的にも困ることなく、全く違った生き方をしていたかも知れませんが、家族が心を一つにして、世の中の試練を一つ一つ乗り越えてきた中で、物質面での豊かさにはかえられない色々なものを得ることが出来ましたことに、感謝とよろこびをしみじみと味わっております。若い者にすべてをまかせて時間的にもゆとりの出来た今、安閑としていては勿体ないと地域の老人会に入りました。一人住居の方や、身体の不自由な方々と語り合ったり、趣味の絵手紙や人形作りを楽しんで、希望の生涯青春を生きております。 秋晴れや 孫の華燭の席に座す (編集註)龍膽りんどう(秋) 草の名。茎高さ2、3尺。葉竹の如くにて短く円く対生す。8月、茎頭及葉間に鈴鐸状の花を開く。昼は展び夜は収まる。青碧色又は白色なるもあり。冬、実をむすぶ。〔異名〕えやみ草、おもひ草、くたに。 龍膽や 御陵道の 小笹原 丹士 |