谷虎さんの天国からのメッセージ 5組 松井幸子(谷虎三郎の長女)

 

 お父さんの大好きだった十二月クラブが、還暦を迎えるそうです。あなたが生きていれば、この60年間を振り返って思いのたけを語るだろうと思います。そこで僣越ながら、あなたが1980年代に書き綴った日記を通してその思いを皆様にお伝えできればとペンをとりました。

 −−1982年1月15日(金)成人の日 晴

 今年成人式を迎えるのは男80万人、女76万人だという。これから生きる50年はどんな変化に遭遇するのか。平均寿命から1918年生まれで21世紀を目のあたり見ることのできるのは何人か、61年生まれが見れる20、30年代、40年はどう変化しているのか、勿論時代の主役は21世紀生まれに移りつゝある訳だが、宇宙開発が、遺伝子工学がその時代にどんな形で人間生活に対応を迫り、人間サイドの選択が何を残し、何を切り捨てていったか、興味の尽きないところである。  −−

 あなたが興味の尽きないと言った21世紀は今年やってきました。20世紀の終わりに日本人飛行士も何度か宇宙に飛び、宇宙ステーションの開発も進んでいます。先日、NHKでは火星に人間が住めるようにする計画についてシュミレーションしていました。

 遺伝子工学の世界も人ゲノムは、大凡解読され遺伝子組み替の大豆やトウモロコシが出まわっています。

−−1983年1月5日(水)晴

 年明け早々今年はどんな年になるのか予測して見る。第一の関心事はこの地球は大丈夫かということ。まかり間違って核の発射ボタンでも押すようなことになったら単に米ソ2国間の核戦争では済まなくなることは必条。地球の破滅に迄及ぶ。

 常々思うことはこの宇宙船地球号は人間だけのものではない筈。動物でも植物でも地球上に生を享けたものは公平にその生を全うするように生まれている。只本来的なルール、強者が弱者を支配していくことに人間的な小賢しい手が加えられると自然の秩序がおかしくなる。−−  

 核の脅威がなくなったとは言えないけれど、ソ連は崩壊してしまいました。

 人間的な小賢しい手が加えられて、自然の秩序はおかしくなりつつあるかと思います。今叫ばれている宇宙船地球号の大きな問題は、環境汚染、オゾン層の破壊、地球の温暖化等々です。

 21世紀は思い描いていたほど明るくはなかった。20世紀に走り過ぎた分、少し足ぶみして、まわりを見渡せよと言われているような気もします。

 戦後56年たちました。総理大臣の靖国神社公式参拝が是か非かでこの夏、日本と近隣各国は湧きました。学徒出陣で12月に繰り上げ卒業したあなた達世代は、今や戦争を語り継ぐ貴重な存在です。

 お父さん、あなたが今、天国にいてこの地球を見ててくれるなら、あなたが愛した人間達が方向を見誤らないように見守っていて下さい。

 そして十二月クラブの方々は、まだまだ長生きして、21世紀を生きる人達に平和の大切さを、宇宙船地球号への熱き思いを伝えていって欲しいと思います。

 十二月クラブの60周年、おめでとうございます。