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■現在地:ホームリレーエッセイ

■リレーエッセイ

−THE NORTH AMERICA−

松本 正義(Eクラス)
住友電気工業株式会社 社長

私の執務室にモンタギュードブソン(MONTAGUE DOWSON)画伯(1895年〜1973年)が晩年に渾身の力をふり絞って描いたとおもわれる一枚の帆船の油絵が掛けられています。“THE NORTH AMERICA” と題され、横幅100cm 縦幅70cm程の金色で装飾された額縁に納められております。荒波を物ともせずに乗り越え、大海原を雄々しく目的地に向かって航海する一隻の帆船の姿には一種の感動をおぼえます。ドブソン画伯は、帆船画の第一人者であり故アイゼンハワー大統領のお気に入りの画家であったと言われております。

私がロンドン駐在時(1985年〜1992年)にシャーロックホームズの町として有名なベーカーストリートから西へ徒歩で2〜3分のドルセット公園に面し、150年も前に建てられたジュージ王朝風の建物をリヒッテンシュタインの商人より1987年に買い求め、欧州地区の本店としました。二代前の持ち主はクリスチャンキーラー嬢,プロヒューモー陸軍大臣のスパイスキャンダルで一敗地にまみれ、倒閣の憂き目に会った元マクミラン首相の私邸でありました。地上五階、地下一階の建物で、入居当時は当然ながら何もなく風が吹き抜けていく様な気がしたものです。英国はお化けの国として有名であり、何となくその風情がありました。従業員の志気を高める工夫が必要とおもい、少々値段がはっても勇ましい、気持ちが高揚する絵を事務所に掛けることをおもいつきました。ロンドン市内のギャラリーに出向き、推薦された帆船の油絵4枚シリーズを購入したのがドブソン画伯との出会いでした。

みればみる程、その当時の私の置かれていた立場、又あるべき心構えを見事に表現している絵はこれしかないと確信し、即座に買い求め、4枚セットの帆船画を主要な部屋に掛け、従業員のモラルアップ、そして私の心意気を浸透させる効果を期待しました。1985年から1992年の七年間は欧州の歴史の歯車が音をたてて大回転し、ベルリンの壁崩壊に始り東欧中欧の民主化、市場経済への編入、欧州共同体の統一強化、そしてソ連邦の分解とまさに100年に一度の歴史的な変革が現実化し、現欧州の仕組みが形作られていった時期でありました。目の前に掛けられている “THE NORTH AMERICA” 他三作は、私が社長就任時、2004年6月にロンドンから送らせ、大阪本社、東京本社の経営会議室と社長室に掛けさせました。仕事の合間にふと目をあげますと “THE NORTH AMERICA” は走馬灯の如く、ロンドン駐在時の様々な思い出をよみがえらせてくれます。すべてが何だか随分遠い昔のことの様におもわれます。Out of sight,out of mind と少し感傷的になる時もあります。ロンドン駐在当初、欧州経営の形をどうするか悩んでおりました。ビジネスモデルは,その目標は,時間軸をどうするか,時間は限りあり待ってくれない,等々問題をひとつひとつあげ整理するも、政治経済社会状況が刻一刻土台から変化しており、一企業の考えることなど大きな津波が押し寄せてくればひとたまりもないとの不安で一杯でした。

しかし、現実から一歩離れ、ドブソン画伯の帆船をながめていると “敵は百万ありとも我ゆかん” との気持ちにさせられるおもいでした。現実は “行く川の流れはたえずして、しかも元の水にあらず” の様相を示しており、信念に基づいたビジネスモデルを黙々と進めるしかありませんでした。今から思えば若干危ない点も多々あり、若気の至りといえ冷汗ものです。

自己満足かもしれませんが、略々の結果が実ってきました。しかし光陰矢の如しの通り7年間はあっという間に過ぎてしまいました。

いい結果が得られることを夢見て、又信じて地道に誠心誠意努力を続けたことが当時の変化極まりない世相にも拘わらず、ひょっとしたら神様が可哀そうだとおもわれたのか、人並の果実の分配にあずかることができたとおもっています。従業員の感謝の言葉をあとにヒースロー空港をほっとした気持ちで飛び立って16年が過ぎました。米国発の金融危機が全世界を覆い、すさまじい拡がりと深さで実態経済に襲いかかっています。大不況到来と騒ぎたてるアナリスト,エコノミスト、将来の企業活動に大きな不安を持つ企業人、出口のない不況。 ITバブル崩壊時は他部門に目をやれば出口の見えた世界がありました。弊社もITバブル破裂で大きな痛手を受けましたが、幸いにも自動車部門が健全であり、V字回復を遂げることができました。今回の不況はどこをみまわしても出口は容易にみつかりません。大暴風が去るまで内部をきっちり固め、来るべく回復期に備えるのがベストのやり方なのか等おもいながら、原稿を書いております。 “THE NORTH AMERICA” に目をやりますと、どんな苦しい状況がこようと志は常に高くもち、先をみつめて “我ゆかん”の精神を再度教えてくれている様です。


以上


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