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■リレーエッセイ

水と水道のお話

中島 薫 (Cクラス)

水は命を育むものです。人は水なしには一日として生きていけません。
こんなに大切な水なのに、私たちはこのことにほとんど無関心のまま日々を過ごしているのではないでしょうか。水は蛇口をひねれば何時でもいくらでも出てきて当然、と思ってはいませんか。

私がめぐり合わせで本年度の会長を務める大泉名水会(以下名水会)は練馬区東大泉三丁目の住宅約730戸のうち、515戸に給水する専用水道の運営組織です。 
これほど小規模な私設水道はあまり類例がないのではと思われますが、その生い立ちを調べると納得がいきます。そもそもこの地区はかつてほとんどが畑でした。昭和16年に市ヶ谷にあった陸軍予科士官学校を朝霞の練兵場近辺に移転させるにあたり、同校に勤務する職員用の住宅を用意するため当時の武蔵野鉄道(今の西武鉄道)が総戸数600戸の宅地造成を行ったのが住宅が建ちだした始まりであったそうです。その造成宅地内で水道が自給できるようにするために、独自に井戸を掘り配水管を敷設して初めて給水を開始したのは昭和17年でした。名水会はすでに67年の歴史があるわけです。
この間、水道の運営は一貫して地域住民のボランティア−活動によってなされてきました。とは言え全くの素人であるボランティア−が水道の運営に伴って生じる諸問題を一つ一つ解決していくのは容易なことではありませんでした。水源が枯れる心配はないか、揚水や送水のためのポンプはよく故障するがどうしたらよいか、貯水用地下タンクの耐用年数はどうか、断水の原因となる配水管の折損事故にどう対処するか、水道料金をどう定めるか、等の問題に取り組むためにはいずれも専門知識や資金的裏付けが必要で、名水会を構成する各種委員会の担当委員は大変な労力と時間をこのために割いてきました。

こうした水道の維持、継続への努力の源泉となっているのは何と言っても名水会の水の「水質の素晴らしさ」です。そして、夏はひんやり冷たく冬はほんのり暖かい、とてもおいしいこの水をなんとか守っていこうとする地域住民の熱意です。
現在の名水会の水は地下232メートルに達する第3号井戸から汲み上げられる深層水です。その水脈は遠く秩父、奥多摩に発し、かの山々に降った雨がおよそ100年の歳月を経て幾層もの地層によって自然濾過され深い地下水として流れ来たったものです。それは人体の生理作用に不可欠のミネラルとされるカルシウム、鉄、亜鉛、マンガン、を多量に含むナチュラルミネラルウオーターなのです。
ところで水の「おいしいさ」は科学的に測定可能であることをご存知でしょうか。東海大学の真下教授によれば、その方法は概略次の通りです。
まず水を小さな瓶に入れて電場をかけます。水の分子が電場に向く速さを測定すると水の分子の塊の大きさが推定されます。実はこの塊が均一の大きさであるほどおいしい水であることが経験的にわかっています。
分子の集合体がまったく均一な水の値を1とし、それとの比を1に近い順に並べますと我が名水会の水は0.997となり、世界一とされるカナダのケベック市の水道水の0.999にきわめて近い値を示します。世界でも有数のおいしい水と言えます。ちなみに東京の水道水は0.969であり、大阪のそれは0.975です。

さて名水会は私設の水道、民営化された水道ですが、我々の常識では水道のような社会の基礎インフラは公的に運営されるものであり、例外的に民営もあると考えられています。ところが1990年代以降の先進諸国では公的セクターが財政難に陥り、水道施設の老朽化対策が思うように進まないという実情があります。一方で発展途上国ではインフラ整備への公的資金が不足しています。こうした背景のもとに世界的に水道事業の民営化の流れが加速しており、今では130カ国で民間企業が水道事業を運営するようになりました。この民営化の流れの先鞭をつけたのはかのサッチャー首相でした。
水道の民営化率をいくつかの国ごとに見てみますと英国100%、フランス80%、ドイツ20%、アメリカ35%となっています。
また例を中国にとれば、上海、天津、成都、北京、重慶、青島、の各都市の水道事業はフランスの2社が独占的に運営しています。ヴェオリアとスエズの2社です。実はこの2社は世界で圧倒的な力を持つ水ビジネスの巨人であり、ヴェオリアの水部門の売り上げは1兆6千億円、給水人口は1.8億人であり、スエズはそれぞれ1兆5千億円、1.25億人となっています。
技術力と資産力でこの2社は抜きんでており他の追随を許しません。

それではなぜ水ビジネスの巨大企業がフランスに生まれたのでしょうか。フランスは伝統的に地方自治体の規模が人口2千人未満と小さく、極端に細分化されていました。そのため個々の自治体の財政力が弱くて独自の行政サービスを提供できず、都市交通、ゴミ処理、水道などの公共事業を民間企業に委託する制度が150年も前からありました。このような土壌が水ビジネスの巨大企業を育てたと言えるでしょう。
またフランス政府はこれらの企業の海外展開を積極的に支援しており、シラク前大統領が中国に対してトップセールスを展開したことがヴェオリア、スエズによる上記の各都市の水道事業受注に大きく貢献したと言われています。
水の供給と管理は一見地味な事業ですが、90年代以降の各国の民営化の進展度合いや中国の現状をみると意外な成長分野なのかもしれません。ただ残念ながら日本には今のところ水ビジネスを総合的に事業化した企業は存在しません。
経産省が旗を振って水ビジネスの勉強会程度のことはやっているようですが、国内に需要が無いのが致命的なのでしょう。
遅まきながらヴェオリア、スエズに伍すべく、名水会を株式会社に改組して水ビジネスに打って出るのは面白いかもしれませんね。
多分、まあ、さ来年あたりにでも…。

以上

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