シンナーを吸う騎手はダービイで優勝できない。
 私は生まれてこの方、シンナーを吸ったことがない。
 それなのに、騎乗している馬の管理者である男の前に立って、もはやおまえに騎乗してもらう意思は ない、と彼が言うのを聞いていた。・・・・・・

上記は「騎乗(原題:10-lb PENALTY)」(ハヤカワ・ミステリ文庫)の冒頭です。ディック ・フランシスの小説の出だしは、いつもこのようにいきなりストーリーに引き込んでしまう。

本のカバー裏面の宣伝文
17歳の障害(競馬)騎手ベンが突然厩舎を解雇されたのは、父親ジョージの策略だった。ジョージは下 院議員選に勝利するため、唯一の家族であるベンを必要としていたのだ。激しい反発を覚えながらも、 やがて父親に説得されたベンは選挙活動への協力を誓う。しかし、選挙区では、ジョージに対するスキ ャンダル攻撃と暗殺工作が待ちかまえていた! 十代の少年を主人公に据え、生きることの厳しさと真 の男の勇気を描くシリーズ第36作