最近私が感銘を受けた本

『聖書の暗号』
        Michael Drosnin著、木原武一訳、新潮文庫、705円(税別)


 ”世界の最も著名な数学者たちによって確認された、コンピュータ化された(旧約)聖書の暗号、湾岸戦争、 彗星の木星への衝突、そしてラビンの暗殺を正確に予言した暗号”(本文より)について書かれた本である。
 信じられないかもしれないが、”約3千年前に書かれた(旧約)聖書のなかに、人類の過去の歴史上の主要な 出来事や最近の事件ばかりか、未来のことも、暗号として記されているというのである。”(文庫本のための 訳者あとがき)
 本書が数ある終末論的いんちき予言の本と違うのは、聖書の”暗号を発見したのは、量子物理学の基礎とな る群論の世界的な数学者、エリヤフ・リップス博士である。暗号は、ハーバード大学、イェール大学、ヘブラ イ大学の著名な数学者によって確認され、またペンタゴン(アメリカ国防総省)の熟練暗号解読者によって再 現され、独自のコンピュータ・プログラムによってテストされた”(本文より)ものだということである。
 ”この暗号の仕組みについては第1章に詳しく解説されているが、要約すると次のようになる。暗号解読の 対象となるのは、主として旧約聖書の最初の5書(創世記、出エジプト記、レビ記、民数記、申命記)で、こ れらはヘブライ語で書かれ、全体で304,805字からなる。この約30万の文字を(単語と単語のあいだ の空白をすべてなくして)一列にならべ、ある同じ字数ごとに文字を拾い出していくと、ある出来事とそれに 関連する事柄や人名などが示される。たとえば、1945字おきに文字をピックアップすると、なんと、「ヒ ロシマ」という言葉がつくられるという。言うまでもなく、1945は、広島に原爆が投下された年である。 ”(【文庫本のための訳者あとがき】からの抜粋)
 これは、等距離文字列(ELS:equidistant letter sequences)という手法であるが、”それは単純なスキ ップ・コードではない。ヘブライ語原典の旧約聖書の本文全体を並べかえると、単語と語句の複雑な組合せが 生まれ、そこからまったく新しいことがあきらかになる”(本文より)。

 上述の出来事のほか、ケネディ暗殺、ロサンゼルス大地震、奥尻島地震、ヒトラー・シェイクスピア・エジ ソン・ニュートンなどとその関連語句などの暗号を解読した事例が数多く提示されている。
 巻末には”著名な数学者”たちによって確認された聖書の暗号の存在を証明した原論文も載っており、その 理論は科学的に裏打ちされたものであると言えます。いんちきと思われるかも知れませんが、ご一読をお薦め します。