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Mekong Project

恐るべし、中国男女自動車部()遠征隊の
カンボジア遺跡めぐり

                                    石垣 禎信  


世界遺産のアンコールワットをはじめとするクメール王朝の遺跡は聞きしに勝る大変なものであった。熱帯のジャングルの中にあのスケールで寺院を造った古代カンボジアの勢力と文化に敬服をしながら、寺院を巡っていたところ、我々の「メコン回廊遠征隊」のスケール(とはいっても今回は2台、カンボジアには持ち込めずマイクロバスでの走行)をはるかに凌ぐ、気になる車の集団がいた。通しナンバーのステッカーを貼った黒の大型SUVを8台も連ねたグループである。多少遠めの場所に止まっていたため、その時の我々の印象は、「すごいグループがいるな、次回はあれ位の台数の遠征にしたいね」「隊のステッカーと車両ナンバーはやはりカッコいいね」といったものだった。

 

翌朝のホテルのチェックアウトの時、偶然にもそのグループも同じホテルに泊まったらしく、彼らの出発前にちょうど出会った。何と車は半分がレクサスのSUV、残り半分は我々がオーストラリア遠征の時に使用したランドクルーザーであった。

  

何とステッカーには「北京情人秘境探検隊?」と書いてあった。「情人?」これは中国語で「愛人」あるいは「情婦」に当たる言葉では?? こんな言葉を堂々と車の側面に貼っていいのか??

 

何事にも好奇心の強い私が彼らに話しかけないわけはない。残念ながら英語を話せるメンバーがいなかったが、なんとか理解し、察したことは・・・

北京からきた男女のグループ、推定年齢30代後半から40代半ば、若者とは言えないが、普通の感じの中年前のビジネスマンといった風情、女性はもう少し粋な感じの小姐と言ったところの組み合わせであった、女性のメンバーが駐車スペースで車を扱う様子(下の写真)から、中々の腕前と見た。

    

   

「北京から運転してきたの?」との問いに、答えは「カンボジアでレンタカーを借りている」、後で同行の石坂先輩に聞いたところ、恐らく並行輸入のトヨタ車だろうとの事、言葉と時間の制約でこれ以上の探求はできなかったが、「恐れ入りました。」が素直な感想。

 

それなりに時間とお金を使える中国ビジネスマン()、しかも女性もドライバーとして参加する大きなグループで、最高級SUVのレクサスとランクルで、白昼堂々の「情人・・・」のステッカーを貼って・・・

 

私の逞しい想像では、北京のITあるいはサービスの会社を経営するグループが、男女の仲間でカンボジアの世界遺産を四駆のSUVで自ら運転して回ろうと云う企画で、「北京情人秘境探検隊」のステッカーはチャイニーズジョークだろうと思う。因みに「情人節」は「バレンタインデイ」のことで、最近では軽い意味での「情人」の使い方もあるとのこと。

いずれにしても中国の経済と余暇文化()の成長と進化はここまで来たかと、感嘆した次第。

 

加油(ガンバレ)日本!! 加油日本男女中高年!!!

 

ここまで書いた後、「ここまで断言していいのか?」と不安になり中国語の堪能な()アット東京の女性社員に写真を見せ、状況を説明し調べてもらった。

 

ステッカーの中国語は日本語に直すと「情人節(バレンタイン)・ドライブ・カンボジア 冒険・神秘・アンコール」が上段、クラブの名前は、「北京マクストン世界自動車倶楽部」であった。情人節はバレンタインデイ(2/14)あるいは七夕の事で「恋人たちの日」に合わせた、「カンボジアの神秘のお寺(アンコール)の冒険ドライブ隊」と言うことだろう。下の倶楽部名は、北京と朝陽(遼寧省)が拠点の国境を超えるドライブ旅行を扱っている旅行社の名前で、やはり急成長のIT企業のグループ会社だった。

 完

 

         

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