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V、ラトヴィア共和国について【9/17(月)〜18(火)滞在】 |
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【歴史】 |
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BALTの他の国々と同様、過去に被支配の歴史の変遷を経験している。 |
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紀元前1世紀頃にウラル語族のリーブ人が北シベリアから大挙してバルト海沿岸に移住し |
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定住した。(この地域は長らくリーブ人の居住地と言うことでリヴォニアと呼ばれた。) |
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3世紀頃はバルトやフィンランドの地域の人々はゴート族に支配されていたが、4世紀に |
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入り侵入して来たフン族やスラブ人に追われて、ラトヴィア人やリトアニア人はバルト地域に |
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移らざるを得なかった。 |
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13世紀のリヴォニア帯剣騎士団、それを併合したドイツ騎士団の東方植民で、徹底的な |
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キリスト教化が推し進められ、現在の首都リーガもこの時に建設された。 |
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(リヴォニア帯剣騎士団と共にやって来た植民ドイツ人はラトヴィアに残り、バルト・ドイツ人 |
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として20世紀まで実効支配を行った。) |
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リーブ人は騎士団の為に激減し、以降ラトヴィア人がこの地の主要民族となった。 |
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16世紀にはバルト海の覇権をめぐって、リトアニア、ポーランド、スウェーデン、の支配を |
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受け、北部のリヴォニアと南部のクールラントに分裂、北部はスウェーデンに、又南部は |
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ポーランド、ついでロシア帝国の影響を受ける。 |
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16世紀半ば、リヴォニア帯剣騎士団が解散後は、世俗の国家としてリヴォニア公国となり、 |
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南のポーランド・リトアニア連合の構成国であるリトアニア大公国に加盟した。 |
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その後の領土獲得争いの中で、周囲の列強 スウェーデン、ポーランド、ロシア帝国に支配 |
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されるが、第一次世界大戦後の1918年にラトヴィア共和国として独立宣言する。 |
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然し乍ら第二次世界大戦勃発後、ナチスドイツ、続いてソ連により征服される。 |
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1980年代、バルト3国の中では最初にソ連からの独立運動が展開され、ソ連でのクーデター |
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失敗後の1991年に再度独立を回復する。 |
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その後は他のバルト諸国と同様に西欧諸国との連携を深めて、EUやNATOにも加盟した。 |
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【国土・民族・言語・宗教】 |
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BALT3国の真中に位置、北はエストニア、南はリトアニア、東はロシア、南東はベラルーシ |
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と国境を接する。 面積は九州本島の約1.8倍。 |
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国土の大部分が海抜100m以下の低地で(海抜最高地点でも311m)森林に覆われており、 |
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無数の河川や湖沼が分布している。 |
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人口は約210万人で、民族構成はラトヴィア人が62%、ロシア人が27%、その他周辺諸国 |
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の民族が数%づつ。 |
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言語はラトヴィア語が国語・公用語ではあるが、リーガ等の都市部ではロシア語系住民が |
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多くロシア語の使用率が高い。 |
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BALT3国の中では最もロシア人の人口が多く、首都リーガではラトヴィア人とほぼ同数。 |
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ラトヴィア国内にはソ連時代にロシアから移民して来て帰化していない「非国籍者(無国籍)」 |
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が50万人近くも存在し、市民権も得られず人道的観点から大きな問題となっている。 |
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宗教はキリスト教、北部・西武はプロテスタント、南部はカトリックが多い。他にロシア正教も。 |
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我々の訪問時 9月は、平均最高気温16.3℃、平均最低気温8℃。 |
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【文化・音楽・他】 |
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他のBALT諸国と同様に、音楽の国。 |
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国民の約半数は音楽学校に通ったこと、合唱団で歌ったこと、楽器の演奏経験を持って |
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おり、常に国中でオペラ、音楽祭、歌謡祭、ジャズ、現代音楽の演奏会が催されている。 |
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当国で5年に一度開催される『歌と踊りの祭典』は、1873年にスタートした国民的行事で、 |
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丁度独立100周年の今年2018年がその開催年に当たっている。(7/7〜15の間に開催) |
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1週間に渡り行われるこのイベントのために、毎回ラトビアの各地から何千ものアマチュア |
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のグループや伝統工芸職人、そして民俗音楽の合唱団が集まる。 |
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また、このイベントでは「ラトヴィヤス・ヴァイナグス」(ラトビアのリース)と呼ばれる少数民族 |
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による伝統工芸や民族衣装、そして歌と踊りのグループによる企画も実施される。 |
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会場となる野外公園メジャパークでは、ステージの拡張工事により35,000人分の座席シート |
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と60,000人分の立見席が設置され、11,000人が歌うステージからは、クリアで美しい歌声が |
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パーク中に響き渡る。 他諸国の祭典と同様に『世界無形文化遺産』に登録されている。 |
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https://www.youtube.com/watch?v=TYIgwyML7WQ |
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@ ルンダーレ宮殿 (9/17 午後観光) |
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首都リーガから南へ約80km、リトアニア国境に近い当国南部ゼムガレ地方に有る。 |
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「バルトのヴェルサイユ」とも言われ、ラトヴィアで最も素晴らしいバロック・ロココ様式の |
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記念建造物。 |
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当時のロシア女帝アンナ(1693〜1740)から愛され、貧しい貴族からクールラント大公にまで |
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昇りつめたビロン公の夏の宮殿として、1736〜40年にかけて建造された。 |
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設計は、サンクト・ペテルブルグの冬宮などを手がけたイタリア人のラストゥレリ。 |
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その建設には延べ1500人の職人が加わり、壁画は二人のイタリア人画家、装飾はドイツ人 |
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彫刻家が担当した。 |
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途中女帝が亡くなり、ビロン公がシベリア流刑になる等の曲折も有ったが、1768年に完成。 |
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贅を尽くしたこの宮殿の見所は2階部分、「黄金の広間」と呼ばれる即位の広間。 |
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その他にも「白の広間」、「バラの間」、「大理石の広間」等が並ぶ。 |
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城の庭園は「緑の劇場」を彷彿とさせ、池や噴水が配置され、美しいバラの花を咲かせている。 |
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A リーガ【歴史地区:世界遺産】(9/17泊、9/18午前観光) |
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人口約70万人を抱える、ラトヴィアの首都。 BALT3国でも最大の都市。 |
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「バルト海の真珠」と称えられる美しい港町で、ダウガヴァ川の右岸に拡がっている。 |
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12世紀までには、交易、行業、畜産の拠点となっており、12世紀半ば以降ドイツ商人の |
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入植も盛んになる。 |
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ローマ教皇の命を受けたブレーメンの僧正シトー会のアルベルトが1200年に北方十字軍を |
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組織して侵攻、リーガを制圧して リーブ人の服属と改宗を図った。 |
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1202年にアルベルトが「リヴォニア帯剣騎士団」を創立して以降、リーガはバルト海とロシア |
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の中継貿易拠点として重きをなした。 |
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1522年にはプロテスタントを受容し、1561年のドイツ騎士団の解散で自由都市になる。 |
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1581年からはポーランド・リトアニア共和国、その後スウェーデン王国の支配下に入る。 |
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18世紀の北方大戦争の結果帝政ロシアに割譲されて、第一次世界大戦まではロシア領の |
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重要な交易拠点となった。(モスクワ、サンクトペテルブルクに次ぐ第3の都市に。) |
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第一次世界大戦終結後、1918年に独立を宣言したが、続く第二次世界大戦の勃発により |
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以降ソ連、ナチスドイツの占領下にあり、終戦後はソ連に併合され、大量処刑やシベリア送り |
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等による悲惨な経験を重ねる。 |
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【観光名所】 |
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かつて「バルトのパリ」とも呼ばれた街並みも、ソ連時代には手荒く扱われて、ついには |
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「零落した貴婦人」とまで呼ばれた時期が有った。 |
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独立後の旧市街の復興は目覚ましく、修復されて美しさを取り戻した物が少なくない。 |
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聖ヨハネ教会 |
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・13世紀に創立され、16世紀に再建された小さいながら美しいゴシック様式の教会。 |
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・この教会の建設時に、生きた人間を壁に塗りこめれば災いから建物を守れるとの信仰が |
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有ったため、二人の修道士が志願して壁の中に入った。 |
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この話は人の記憶から消えていたが、19世紀半ばの教会修理の際に壁の中に空間と屍が |
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見つかった。今も外壁に見られる十字架型の穴は、後に彼等を記念して作られたもの。 |
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・通りに面した外壁の上部には、口を開いた修道士の顔が二つ見える。かつてはこの裏側に |
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神父が立つ小部屋が有り、外部に聞かせるための説教が行われたと言う。 |
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・教会前の 「ブレーメンの音楽隊」の像も見逃さない様に。 |
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聖ペテロ教会 |
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・13世紀初め最初の教会が建てられ、18世紀にほぼ現在の姿に改築された「二戸建て教会」。 |
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プロテスタントの教会の一部がカトリックの「聖ヤーコブ教会」として使われている。 |
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・高さ123m有る塔は、第二次世界大戦後に改修されたもので、72m迄エレベーターで昇り |
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リーガの街を一望することが出来る。 |
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この塔の先端に雄鶏が据え付けられる度に、この上から建築責任者がワインを飲み干した |
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グラスを下に投げ落とし、この教会の未来を占うと言う習慣が有ったと言う。 |
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聖ゲオルギ教会 |
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・1204年に帯剣騎士団の城の一部として建てられた、現存するリーガで最も古い建物。 |
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・その後13世紀終わりに住民達により壊され、南側の部分だけが残された。その後 |
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聖ゲオルギ教会として使用され、宗教改革以降は倉庫に。 |
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・現在は工芸とデザインの博物館となっている。 |
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ブラックヘッドの会館 |
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・リーガの創設800周年を記念して1999年に再建が完了し、1941年にドイツ軍の空襲で |
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破壊されるまで、数百年の時間をかけて獲得されて来た個性的な姿の建物がほぼ完全に |
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再現された。 |
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・この建物は1334年リーガの町の創立の直ぐ後に築かれたが、豊富な装飾の中、大きな |
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『天文観測用時計』が目につく。(月、日、時間、月齢を刻む) |
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その下には、四つのハンザ同盟の重要都市、ハンブルク、リューベック、ブレーメン、リーガ、 |
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の紋章が浮き彫りにされ、ギリシャ神話の登場人物も見える。 |
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・未婚の貿易商人の友愛会であったブラックヘッド・ギルドのメンバーにより、コンサートや |
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ダンス・パーティー等が開催されたが、殆んど全てのギルド・メンバーはドイツ人だった。 |
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・会館前の市庁舎広場には、リーガの守護聖人である聖ローランドの像が立っている。 |
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リーガ大聖堂 |
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・現存するBALT3国最古の建築の一つ。 |
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・騎士団が占領したリヴォニア(現在の北部ラトヴィアと南部エストニア)の宗教的中心を |
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占めて来た教会。 1211年に僧正アルベルトが建設を始め、その後何度も増改築が |
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なされて、18世紀後半に現在の姿になった。 |
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そのため、ロマネスクからバロックに到る様々なスタイルが混在している。 |
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・教会の周囲を溝が取り巻いているが、建てられた当時と現在の路面の高低差が分る。 |
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高さ90mの塔は1776年に建てられたもので、それ以前の塔は更に50mも高かったと言う。 |
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・教会内の見ものは、リーガの歴史を示す美しいステンドグラスと、1883年に造られたパイプ・ |
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オルガン。木彫りの彫像で装飾されたフレームは16世紀以来のものが保存されている。 |
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7000本近いパイプは、造られた当時は世界屈指の最大級のオルガンで有った。 |
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猫の家 |
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・リーヴ広場の北側に、屋根の上で伸びをしている猫が見えるが、以前は反対を向いていた。 |
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この家にはかつて裕福なラトヴィア商人が住んでおり、大ギルドに参加したいと思ったが |
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ドイツ人が支配的なギルドへの加入を拒否された。 |
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怒った彼はギルドの会館に尻を向けた猫を屋根に取り付け、その後ギルド会館がコンサート |
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ホールに変わたので、猫が向きを変えたと言う。 |
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三人兄弟 |
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・兄弟の様に肩を寄せ合って立っている中世の住宅。 |
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外観は建てられた当時の姿をほぼ保っていて、三つ夫々の時代を反映した特徴を備える。 |
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中央市場 |
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・リーガの台所を支える巨大な市場で、屋外・屋内を含め敷地は広い。 |
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20世紀初頭に建てられ、肉屋、魚屋、乳製品店、等が入る大きなドームが5つ並んでいる。 |
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自由記念碑 |
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・1935年にラトヴィアの独立を記念して建てられた高さ51mの記念碑。 |
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塔の上に立つ女性ミルダは、ラトヴィアの三つの地域(クルゼメ、ヴィゼメ、ラトガレ)の連合 |
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を表す星々を掲げている。 |
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ユーゲントシュティール建築群 |
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・19世紀後半にヨーロッパの各地を席券した新芸術様式(アールヌーヴォー)。 |
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特に建築の分野で強い影響を及ぼしたが、その特徴は装飾的なデザインで、曲線や植物 |
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紋様を多用し、デフォルメされた人体像等も使われた。 |
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・丁度 リーガの大建築ブームと重なって、1900年頃からの十数年間で膨大な数の多様な |
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建築を残した。 |
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・最も装飾的傾向が強い初期ユーゲントシュティールを代表する建築家、エイゼンシュテイン |
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の建築が新市街のアルベルタ通り周辺に集中している。 |
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