ピアノ協奏曲第2番/ラフマニノフ


ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番は言わずと知れた有名な楽曲で、多くの方が一度は耳にしたことがあることでしょう。ドラマや映画をはじめ、数々の名場面と共に歴史を刻んできました。ラフマニノフは1901年、28歳のときに精神科医ニコライ・ダール氏に献呈するためこの作品を書きました。それより以前に、若干24歳で完成させた最初の交響曲1番が批評家らの酷評に遭い、彼は作曲活動ができなくなるほどのうつ病になってしまいます。そんな彼を心理療法でもって立ち直らせたのがダール博士でした。ピアノ協奏曲第2番は彼が作曲活動を再開するきっかけになっただけでなく、偉大な作曲家としての地位を不動のものにした作品となりました。

第1楽章 
冒頭、独奏ピアノがロシア正教の鐘を模した荘重な和音を繰り返しながら始まります。導入部が最高潮に達したところで、弦楽器によって暗く強い第1主題が奏でられます。第1主題の呈示が終わると、急速に音型が変化していき変ホ長調の第2主題が現れ、ビオラに導かれながらピアノが憂いに沈んで溜息をつくようなメランコリックのようなメロディを奏でていきます。再現部(Maetoso)ではピアノが第1主題を、ホルンが第2主題を華麗に演奏します。楽章の締めくくりは,ラフマニノフの曲によく出てくるフレーズですっきりと締められます。

第2楽章 
 重厚な第1楽章とは対照的に、弱音器をつけた弦楽器とピアノ、木管楽器が美しく絡みながら進んでいきます。3連符が連続するピアノの伴奏の上に、フルート、クラリネットが夢うつつをさまようようなロマンティシズムにあふれたメロディを奏でます。リリシズムが最高に発揮されている部分である。中間部ではファゴットの高音とピアノとが美しく絡み合いながら、ピアノは次第に雄弁になり,カデンツァ風の華やかな部分へと導かれます。

第3楽章
 行進曲風に始まったあと、ピアノがスケルツォ風の動きのある第1主題を華麗に演奏します。一息入れたあと落ち着いた雰囲気になり、オーボエとビオラのユニゾンによって甘い第2主題が呈示されます。半音階の音の動きを含んでいるため、どこか東洋風の雰囲気も感じられる有名な旋律です。その後は対照的な2つの主題を持ちながらも、前楽章で用いられたモチーフを断片的に使いつつ、激しい部分と甘い主を融合させるなど自由に進んでいきます。終盤、全オーケストラにより第2主題が壮大に合奏され一気に終結部へと向かっていきます。