MOSはビジネスに特化した活動として日本、スウェーデン両国で企業訪問を行っています。
生のビジネスに触れる貴重な機会であり、お互いの国のビジネスの違いや参考にすべきヒントを見つけ出すチャンスでもあります。

訪問企業@グローバルな活動を展開されているスウェーデン企業
日本とスウェーデンのビジネスの違いを学ぶ。世界規模のグローバル企業の方に直接お話を聞く。

訪問企業Aスウェーデンの魅力を生かされたビジネスを行われている日本企業
スウェーデンの魅力をビジネスを通じて学んでいく。

訪問企業B世界に紹介したい日本企業
スウェーデン人学生に日本のビジネスを紹介しお互いに学ぶ。

昨年度訪問した企業は以下の通りです。


 スウェーデン滞在中の3月4日に、スウェーデンの家具メーカーのIKEAを訪問した。
IKEA様には家具の展示を含め、NIPPON DAYやSWEDEN DAYでも多大な協力を頂いた。


 まず、IKEAのオフィスで、社員の方にプレゼンテーションをして頂いた。IKEAと言えば、やはりその商品の安さであるが、具体的には、他社比較メーカーより30%オフ!の価格設定がなされている。他社のメーカーが一般的には生産コストが定価の3割であるのに対して、IKEAは約4割を占める。
そのため、大量生産に加えて様々なコストダウンのための努力がある。例えば、組み立てのコストをカットするため、全ての製品は消費者に組み立ててもらうようになっている。
組み立て前なので製品はコンパクトで輸送コストも安く、輸送での破損も最低限に抑えられる。また、IKEAは「郊外の大通り」に必ず建てられる。それは広い敷地を安価な価格で獲得できると同時に来客に便利な場所だからである。
今回訪問した店舗ももちろん、郊外にあり、駅と店舗を結ぶ往復バスを多くの人が利用していた。IKEAの出店によって、周辺に他業種のお店が出店し相乗効果も生んでいるようである。
IKEAはカタログをマーケティングに有効活用している。スウェーデンの家庭を始め、展開している地域の家庭には年に一回
IKEAの100ページ余りにも及ぶ厚いカタログが無料配布される。
これをもとにIKEAは一年間販売を行い、モデルチェンジは年一回のみである。このカタログにはクーポンが付いており、すぐに捨てられることを防いでいる。また製本コストも徹底しており、この厚さの一般的な雑誌を製作するのに45Krが一般的である中で、イケアはわずか9Kr(1Krが15円)で製作する。そのために1億冊以上の大量の製本に加えて、紙は自社で調達し、印刷のみを発注するという方法で行っている。
さて、IKEAの洗練された家具は誰によってデザインされているのだろうか?もちろん、専属デザイナーもいるが、多くはフリーランスのデザインナーがデザインしている。イケアには毎日デザイナーからデザインさせて欲しいというオファーが来るらしい。ただし、色々なデザインナーがいても、イケアとしてのコンセプトはばらばらにならないように毎年テーマが決められるそうだ。

 その後、実際にIKEA SHOPを案内してもらいながら、お話を伺った。店内にはモデルルームとして、IKEAの家具が展示されている部屋がたくさんあり、部屋のインテリアの提案を行っているという。このモデルルームには、狭い部屋のものもあり、すべての人によりよい暮らしをというIKEAのヴィジョンが現れている。
また、買い物袋は非常に大きな丈夫な袋が使われており、これはたくさん買い物してもらうための作戦であるそうだ。
IKEA SHOPにはレストランもあり、社員の方々とランチをご一緒させて頂いた。このレストランの値段も安く、消費者に「IKEA=安い」というイメージを持ってもらうイメージ戦略の一環であるそうだ。
例えば、市内では普通20Krで売られているホットドッグがわずか5Krで販売されている

 ERICSSONは本社をスウェーデンに持ち、モバイル・インターネットおよびブロードバンド・インターネット・ コミュニケーションの将来を最先端技術で築くリーディング・カンパニーである。
SWEDENDAY,NIPPON DAYでも多大な協力を頂き、スウェーデンと日本両国で訪問させて頂いた。

In Sweden:  
 3月3日Ericssonの本社を訪問した。周辺はEricsson関係の建物が並び、言わば「Ericsson Town」のようであった。
まず、Ericssonに関するプレゼンテーションを受けた。Ericssonはラーシュ・マグナス・エリクソンによって創立された。
彼が初めて通信機を作ったのは1878年でグラハム・ベルが電話を発明したわずか2年後のこ とであった。
以来、エリクソンは、有線、無線を問わず、革新的な技術で通信システムの 進化に貢献してきたのである。
まさに、Ericssonの歴史こそが通信の歴史であることを学んだ。 次に、Ericssonが研究開発している最新のケータイ電話の技術に関する説明を受けた。
テレビ電話機能や自動販売機での決済機能など、現在日本でも実用化が始まっているものもあった。

In Japan:
  4月4日東京の日本エリクソン本社を訪問した。今回の企業訪問では質疑応答を交えながら、日本のケータイ市場についてのプレゼンテーションを行っていただいた。
日本では機能をシンプルにしていく方向と、様々なサービスを付加していく2つの方向がある。
新たなサービスとしての、ゲーム機能、ミュージックプレイヤーとしての機能、道案内機能、2次元コードリーダー、テレビ機能などについて考えながら、どういったケータイがこれから市場で望まれるかについて活発な議論がかわされた。

 4月1日、神奈川県茅ヶ崎にあるAlfa Lavalの湘南センターを訪問した。
Alfa Lavalは熱交換器、遠心分離器、流体機器において世界シェア1位を獲得しているスウェーデン企業であり、SWEDENDAYにも多大な協力を頂いた。


 当日は午前に各部門のマネジャーの方がそれぞれの部門でどんな仕事をしているのかをプレゼンテーションしていただいた。Alfa Lavalの扱う産業機械は私たちに馴染みのうすい製品だが、構造などを聞くと、とても興味深いものであった。
また、在日スウェーデン企業としてスウェーデンと日本の良い要素を取り入れた経営スタイルにも興味をそそられた。Exchange JapanのメンバーもAlfa Lavalのアジア進出やヨーロッパなどの展開について積極的に質問をしていた。
 プレゼンテーションが終わると、昼食を社員の方と一緒にいただいた。MOSのメンバーは普段なかなか話すことのない社会人の方と話す貴重な機会になった。
Alfa Lavalの社風やスウェーデンの技術力の高さなどについて自由に話が進んだ。
昼食後、MOSとExchange Japanに分かれて工場見学を行った。MOSには日本人の社員の方、Exchange Japanにはスウェーデン人の社員の方が同行していただいた。工場の作業だけでなく、社員のモチベーションを高めるためにどのような体制をとっているのかなど予想外のことも多く聞くことが出来た。

 4月8日にVOLVOの東京のオフィスを訪問させて頂いた。VOLVOはスウェーデンの自動車メーカーであり、日本にも多くの販売店を持っている。
トラックの生産では特に高い市場シェアを誇っている。Exchange JapanのOBがVOLVOの東京オフィスでインターンをしていたりなど、私たちのプロジェクトとの関係も深い企業である。

 まずは、VOLVOの歴史や開発への取り組みについてのプレゼンテーションをして頂いた。
VOLVOはスウェーデンのベアリング会社SKFによって1915年に子会社として設立されて、当初は鉄鋼メーカーであった。
VOLVOとはラテン語で「ころがる、回る」の意味だそうである。ところが、SKFの2人の社員が、自分たちの国の国産車を作ろうと、試作車を作ったのがきっかけで、自動車メーカーとしてのVOLVOが始まったのである。
1927年に第1号車が完成され成功をおさめた。VOLVOは安全性に定評があり、世界で最初に3点式シートベルトを標準採用したメーカーである。安全性の追求のため、開発時の衝突実験は何度も実施され、実験を行うセーフティセンターには多額の投資がなされれている。
安全性の高さこそがVOLVOのコアバリューとなっている。 プレゼンテーション後、「VOLVOの日本での一般自動車の売り上げを増やすにはどうすればよいか」というケーススタディに取り組んだ。
MOSとExchange Japanのチームに別れて、様々な案を提案した。議論は日本のサービス重視の消費者への対応といった問題から、社会的責任などの企業イメージに関わる問題まで多岐に及んだ。
 最後に、社員の方に気軽にお話を聞く時間も設けられた。VOLVOに転職してきたという社員の方は、自分の意見が主張できる社風がとても自分にあっていると話されていた。
また、男女平等のスウェーデンに本社を持つからであろうか、女性に働きやすい職場であると話す社員の方もいらっしゃった。

 スウェーデン滞在中の3月3日にストックホルムのNordic LightHotelを訪問させて頂いた。
ホテル内はシンプルな上品さがあり、まさにデザインの国スウェーデンといったホテルである。部屋を案内して頂いたのだが、部屋内の家具の一つ一つに、こだわりが感じられる素晴らしい部屋であった。
ロビーは適度な優雅さがあり、白と美しい曲線のラインが意識されている。高級ホテルであるので、MOSのメンバーは宿泊することはできなかったが、スウェーデンへ行くことがあればおすすめのホテルである。