三組 佐藤 幸市郎

 生来の不精、今もって定まった生き方も、書き残すべき言葉も見出し得ないで居りますので、御辞退致そうかと考えていたのですが。
 
  かって、卒業に際し、ゼミナリステン一同に先生から、「学則不固」なる言葉を餞として頂戴したことがありました。論語学而篇のこの著名な言葉も、仲々分別にならぬままに幾十星霜を経てしまったわけですが、考えてみると、お互い様卒業以来真に変転極まりない、流動果しない世代を生き存えている次第で、その折々に対応してきた根性は、まさに「学則不固」の心掛けではなかったかと、汐々感じています。先生の言葉というものは、何時迄も挙々服膺すべきものがあるようです。

 所懐まで。