班長 常盤 教授
「在来この学園に美を愛し、芸術を共に追求し研究してゆくべき機関の無かつた事を残念に思ふ同志の人々が
集つてこの五月、美術班の誕生を見た。
爾来常盤教授の理解ある、且つは熱心なる御指導の下に、あるひは学園全般の芸術に対する理解を深め学園の生活を豊かならしめる事に、あるひは班員同志の相互的研鑽に、努力を重ね漸く確固たる基礎を築き得た事は班員一同の最も欣快に堪へぬ所であつて、一橋学園全体にとつても今後貢献する所大なるものがある事を信じて
疑はぬ次第である。
座談会一回、講演会一回、スケッチ旅行一回、学内装飾二回、展覧会鑑賞会四回等を短日月の間になし得た事は如何に班員が活発なる活動をなしたかを物語つて余りあるものである。
立川長武君、林秀勇君、阿曽次郎君、柴沼富雄君、宮下八朗君、村山正七君、天谷章雄君、和田一雄等三年生の熱心なる活躍は荻生君、徳野君、高橋君その他多士済々の後輩諸君によって更にアクティヴ化されて
受つがれる事であらう。
美術班本年掉尾の大行事としての十一月三日の大展覧会は如水会員三千名、学生二千の絶讃を博し得た事は
望多の喜びであり我々卒業してゆく者にとつての最大の贈物であつた。」
