一管の竹に四季折々の懐ひを籠めて綴つた吾々の日誌は、そのどの頁を繰つて見ても、総てが楽しい思出によつて満たされてゐる。 僅か一週一度の練習ではあつたが吾々はこの日ばかりは萬障繰合せて、わざわざ登校Lた。それは丁度吾々がゼミナリステンとしてゼミに出席する態度のそれにも等しかつた。 とりわけ秋の演奏会には一同非常な張切りで夜の七時頃迄も集会所で練習したー−そして家に帰ってからも思はず竹をとつて深更に及ぶ事もあった。 演奏会当日超満員の聴衆を前にして存分に吹きまくった時には、演奏会準備の色々の苦心は忽ち深い感激ヘーー鳴呼あの感激こそ吾々の一生忘れ得ぬものゝ一つである。 |
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会長 山口教授 師範 五十嵐疏山師 顧問 中尾都山師 |
月に一度の合奏会には自分の好きな曲を十分気分を入れてヂックリと合奏した。そして総ての雑念が掃ひ除かれ、ピッタリと気合の合つた時、吾々は純粋なる或る境地に引き入れた。これが三曲合奏の妙味であり芸術の極致とも云ひたい所だ。尽きない思ひ出を含んだ愛管、汝は永遠に吾々の精神の糧となるであらう。 |
一卒 業 生 ー
橋本較一 末永隆甫 吉田益造 田中林蔵 野田勝哉 佐藤珍平
川口憲郎 金井多喜男 菅波 齋 三浦庸三郎 大居啓司 松田富士男
長谷川 威 麻生泰正 小林頼男