4組  蘆田 正之

 

 早や卒業してから四十年も過ぎたかと思うと今更乍ら月日の経つ早さにびっくりする次第。還暦も過ぎて人生も後半にさしかかり、その間、何をして来たかと反省するとそぞろ淋しい限りである。

 大学を卒業すると同時に従軍し、個人も家族も忘れ、ひたすら国の為にのみと夢中に過した四年間。其の后復員して始めて個に帰り家族を形成して社会人としての慌ただしい生活を三十五年続けて来たことになる。特に社会に貢献した業績もなく、平々凡々として暮して来たの一語につきるが、今にして思えば周囲の暖い愛情に恵まれたればこそ、今日があり得たと深く感謝する次第である。親、兄弟の愛情は勿論のこと、友人、会社関係等の知人、先輩にも恵まれて幸福一杯であった。特に十二月クラブの方々は誠に気が置けない交際が出来、家族ぐるみ深い心情を寄せている。

 さて之に対して自分の今までの生き方はどうであったか。静かに目を閉じて反省してみると、まあ嘘をつかずに真面目に行動し、人の短所を見ず良い所だけをみて来たと思う。

 従って人生は楽天的であり、平和であった。幸福にして著しい逆境にも巡り合わさなかった事にもよる。その間、大切な事は出来る限り人を愛し又人に愛される事である。先ず自ら愛を与えれば自から先方にも通じよい環境が周囲に醸しだされよう。
 この様な事を信条とし乍ら残された人生を誠実と愛情をもって暮したいというのが現在の心境である。

 


卒業25周年記念アルバムより