雨期深し 充電の響き 静まりて 中空に 鷹ゆるく舞ひ 雨期明けぬ 椰子林を トロッコ操り 土人来ぬ 雲立つや 黄龍弾に 風強し スコールや 薯の葉冠り 土人往く 後送の 患者発ちゆく 木瓜道
燕 (ラバウルより帰還船の船中にて)
(一) 闇深き 南の海に 五つ年の 夢を流して いま還る 悲しみあれど つばくらめ 君まつ国へ いそぎ発つ マストに明き 十字星 (二) 赤道を 越えて遥かな 北の空 ねむれぬ夜半に ただ独り デッキに佇てば たたかいに 疲れし兵の 横顔を つめたく照らす 七ッ星