文集編集委員長
渡辺 公徳 

 

 平成二年七月、カナダの張漢卿君から中村達夫記念事業準備委員長宛に手紙が届いた。「"一橋ルネッサンス協力ファンド"を記念事業の一つとして十二月クラブが率先して設立すべし」という提言である。
 中村委員長は金井幹事長と諮り張君の趣旨を生かして一つの企画をたてた。「一橋大学の将来を考える」というテーマで討論会を催し、そこで発表された意見を文章化して記念文集に掲載するという案である。討論会には大学教官、如水会役員、如水会々報寄稿者、現役学生にも参加を求め十分な議論をつくさねばなるまい。しかしその規模の会は如水会が主催することが適当であると考え、これを如水会事務局を通じ理事会に進言した。

 一方、十二月クラブ会員間で「一橋大学の将来を考える」自由討論会をもつ意義が痛感され、記念事業の進行上、平成三年度第一回十二月クラブ例会、二組担当三月十二日をこれに充てることにした。

 外部から講師を招かなかったが会員の参加も多く、会員の発言にできるだけ時間をとったが建設的積極的意見が活発に開陳され速記の時間を予定より三十分ものばした。

 発言者には全員に速記録を送り文章化して貰った。中にはこの機会に新しく論文にまとめて寄稿してくれた人もある。如水会々報に掲載拒否された杉江論文もこの際発表された。中村委員長はその後の大学の対応をも取材してくれた。大串隆作君も基金の受入、運営方法などを調べてくれた。これらの長短不揃いであるが母校愛に溢れる発言、論文を収めることができて、五十周年記念事業として有意義であったと思う。

 平成三年五月三十一日如水会主催シンポジウム「一橋大学のあり方を考える」PARTIが行われた。十二月クラブ会員も多数参加したが発言の機会は十分に与えられなかった。それ故この特集の価値は一層高まると考える。