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佐治 正三 |
私は国立に住んでいるので、毎朝、健康のため、大学の構内のグランドを三、四十分散歩しています。そこで痛切に感じておりますのは、看板です。昔はどこの大学に行っても、大変大きな赤い字で、××を要求する、××に反対、××打倒、と言った風な左翼的主張の大看板が出ていたものです。例に出しては悪いが法政大学などは、その代表でした。所が、今でも一橋大学では、学生自治会というんですか、院生理事会の名前で、大きな看板を立てるのが続いています。日の丸の掲揚はけしからん、掲揚に至った経緯をキビシク批判して学校当局をやり込める、その外にも、学校理事会で正式に採決された結論でも、白紙撤回を要求するのは珍しくないらしい。自分達の言い分だけが正しい、それに沿わない意見は反民主的だと頑張るらしいのです。 それから、杉江さんが話された寮費の問題ですが、私もビックリしたんです。立て看板に「一橋寮寮費月額五千円、外泊自由……」。隣りの看板はYMCA寮、これは月額一万何千円でしたか。学生の身にとっては、寮費は安いに越した事はない。出来るだけ負担を軽くして勉学にいそしんで貰うのが望ましいのは判りますが、今時、月に五千円で……と言う感じが、私などにとっては没常識に見えるのです。YMCAは伝統的に教会の支援もあり、昔から安かったと思います。一橋寮の運営がどのように行われているのか、何も知らない私ですが、月額五千円と言う数字が、世間の常識を全く外れた学生の要求に屈している学校当局の姿勢を示しているように考えられて仕舞うのです。もし、そうだとすれば、我々が切望している、一橋大学の将来を考え、前向きの姿勢で改革にとり組むためのエネルギーが、沸き出て来なくなるのではないかと案ぜられるのです。 |