和田 一雄

 

 卒業五十周年にして初めて斯う云うテーマで、例会を開いたと云うことは大変嬉しいことでした。
 最近の日本で大変残念な事の一つは、昔からの名声と伝統を持つ会社や学校の運営に責任のある人達が、先輩達が今も大事にして居るものが何であるか、これからどうあって欲しいと考えて居るのかに就いて何等先輩の意見を徴する努力を払うことが無いことである。OBの最も期待して居るものは現役の人達との意見の交流であり、後輩に後を託して心配が無いことである。
 斯うした意味合いでお願い方々提言したい事を三つ掲げさして頂き度い。

 1
 十二月クラブ最後の一員になる迄はクラブ内で此のテーマで定期的に集まって討論してゆき度いものと今後の歴代の幹事長へお願い。

 2
 学生や学校当局との意見の交流の機関を是非如水会と学校当局の間で検討し実現すること。

 3
 時代の要請を速やかに感じ取り、新しい学部を積極的に増設して対応して行って欲しい。

 同志の杉江清氏の指摘された「一橋大学の無気力、停滞、質的低下の傾向は多年の積弊に基づく構造的なものであり今にして再生への決意を新たにしなければ悔を後世に残こすことを憂うる」との発言は、全く同感であるが其の具体論を展開する為にも、先ずは学生並びに学校当局と如水会との定期的意見交流の機会を活発に持つことが必要で、そうした機関を定設して欲しいものと願って止まない。
 出来得れば今後の十二月クラブのクラブ活動の最大の目標の一つに其の推進役を買って出る事を何と一しても願って終ります。