5組  馬場富一郎

 

 「桃栗三年、柿八年、馬場の踊りが二十年」と口の悪い連中は私のことを評しますが実際、昭和四十二年四月に若柳千種師匠(一組、新井隆君夫人)の門下に入りまして約二十五年になりますが二見正之君、新井隆君と三人で、今までよくも続いたものと自分でも驚いている次第です。

 初舞台は昭和四十三年、吉祥寺の武蔵野市公会堂で、曲目は二見君「初出見よとて」、新井君「白扇」、小生「上汐」でした。翌四十四年五月二十五日の三越劇場を皮切りにして四十六年と五十年には国立小劇場に出演しました。以来、回を重ねて、夫々、小唄、端唄、長唄、清元等の数々を、先生の御指導のもとに披露して来ました。時には十二月クラブの地方での総会で、又、東西懇談会にて拙い芸を演じて大変御迷惑をおかけしました。

 昭和五十七年九月、新如水会館竣工を期して舞踊同好会を如水会の同好会に発展させ如水若柳舞踊会として再発足しました。この結果如水会員並びに会員夫人が参加されるようになり、毎年会員が増えて年毎に盛んになってきています。

 三人とも本当は、先生のお弟子さんに師事するのが適当でありますが、新井君の御夫人であるため大.師匠に直接教えていただき身分違いであることは充分自覚しております。おさらい会の折りには十二月クラブの有志諸兄及び御夫人各位が多数見学に来られ激励をいただき、いつも恐縮している次第です。さて、二十五年続いた発足以来の三人で一緒に共演するのが一つの夢でしたが、昨年(平成二年)九月三十日、前進座劇場でのおさらい会で長唄「鶴亀」を三人で共演しその夢を実現しました。又本年二月十二日の十二月クラブの新年懇親会で再び三人で「鶴亀」を踊り十二月クラブの皆さんに我々の記念すべき踊りを見て頂けたことは、此の上ない喜びでした。現在、毎週木曜日夕刻、如水会館三階の日本間「隅田」で二、三時間稽古をしておりますが、今後も益々頑張って続ける積りです。皆様の御見学御参加を、お待ちしております。卒業五十周年記念文集が刊行されますので、十二月クラブの同好会として長く続いている舞踊同好会の現状をしたためた次第です。よろしく御後援をいただき度くお願い申し上げます。

 「十二月クラブ舞踊同好会25年の歩み」、別紙。