1組  筑紫 五郎

 

 私も七十余才の老齢をむかえ、頭の毛少くなり白髪が多くなりました。二人の孫を相手に遊ぶ年頃となりました。生老病死は人間の避けられないさだめとは思いますが、出来るだけ楽しく長生きする様に頑張っています。

 近頃、若い時代特に予科時代のことを思い浮かべる事が多くなりました。

 じっとして机に向っていると、西川正身先生のヒューマニズム、牧野英一先生の信義誠実の原則、三浦先生の学問への情熱、太田可夫先生のカントの哲学が私の一生を送るささえとなっているのに気がつきました。特に三浦先生の講義を聞くのが楽しみでした。諸先生の学問の真髄はよく分りませんでしたが、御人格から出る精神の豊かさにうたれました。

 最近はキリスト教の本、般若心経を読んでいます。暇をみては運動になるので自転車で郊外にある神社や仏閣、又名所旧蹟を廻っています。

 私もやがて幽界に入る身ですが、人間一生の輪廻を信じ、彼岸浄土へ往き生きる事を思っています。

 予科時代の友達が亡くなられて行く事を思うと淋しく感じますが、再び予科の一組の教室で机を並べて勉強する事が出来ることと思っています。

 大分湿っぼい事を書きましたが、年のせいでしょうか。