カーライル博物館  (下のURLは全文です。)
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夏目漱石(慶応2年1866〜大正5年1916)著「倫敦塔 幻影の盾 他五篇」岩波文庫
に随筆風作品「カーライル博物館」が収められている。
漱石は1900年10月〜1902年12月の2年間、文部省留学生としてロンドンに滞在した。
その間四回チェルシーのこのカーライルの旧居を訪問したという。。
カーライルが夫人とともにここに引越したのは1834年6月10日の由。
漱石はカーライルの風貌その他彼の風貌を、恐らくあの肖像画から思い起こしたと思われるが、見ているように描写している。
当時の有名人との会見の模様や、思想の一端、そしてなによりもその住まいのロンドンの当時のたたずまいを思い描いている。

江藤淳の解説に依れば、同時期の「猫」と全く異質なこれらの作品の世界はユーモアや風刺の裏側にひそむ漱石の「低音部」であり、やがてそれは彼の全作品に拡大されて行く。とある。