2003・09・12 

9月例会

12:00 如水会館 スターホール
出席者 36名
会食後 映画鑑賞

フランス映画「舞踏会の手帖」鑑賞に先立って 5組 山崎坦 よりあらかじめ用意した下記のプログラムにそって解説があった。

十二月クラブ会員でパソコンをやっている人は16人あるが、先般メール交信でNET座談会をしようということになつた。
テーマを「学生時代に見た映画」ということにし、次にどの映画にするかということだが、トロントの張君より、君は卒業30周年記念文集に「舞踏会の手帖」と題して、故小林悦生君(5組)、当時ミラノ駐在、イタリヤ三菱商事社長の案内で、ミラノ近郊のコモ湖ヴィラデステ訪問の記を書いていたね。実は張君は、来春お子さんがミラノ転勤になるので、ミラノ訪問、ヴィラデステえ行ってみようと思っているとのこと、その後ドクターストップになったと嘆いていたが、昨日のメールでは来月でかけるという!それは良かったね、と返信したところなのである。
というようなわけで、テーマが「舞踏会の手帖」となった。十二月クラブ会員の誰でも1度や2度は見ているはずで、懐かしい回顧となった。
 白黒(モノクロ)だけれども、とても景色の美しい、ロマンチックな、巨匠デュヴィヴィエのオムニバス映画。
1937年制作でわれわれが見たのは38年だろう。したがって私どもは19か、はたちであった。

学園の外ではナチと日独防共協定が結ばれ、フランス映画輸入は禁止になった。フランス映画2/3本輸入しない代わりに、この映画が輸入できたんだそうで、結構でした。
 メールによれば大野晴里君は国家総動員法で、馬術部だったが自動車運転免許を取得していたので、輸送要員指定になったとか、当時のことが思い出された。と。
 最近大野君のご長男・JALのキャプテンの見事な空撮写真が電送された。ミラノ空港着陸寸前のアルプスの写真である。後にお見せしよう。コモ湖の背景に見られる雪山である。コモ湖は水深400mもあるヨーロッパ最深の湖だそうだ。


1937年ヴェネチア国際コンクール最高ムッソリーニ賞
1938年キネマ旬報ベストテン第1位
舞踏会の手帖UN CARNET DE BAL
監督 ジュリアン・ディュヴィヴィエ(1896〜1967)
    彼の作品は望郷(ペペルモコ)、にんじん、など25本。無声映画21本。
撮影 ミシェル・ケルべ    第六話の斜めの画面が話題になった。
音楽 モーリス・ジョベール  音盤を逆転して録音した”灰色のワルツ”が話題になった。
                   映画「巴里祭」の作曲も担当。


王朝時代の貴族婦人は立派な肖像画入りの手帖に、舞踏会に先立って、男性に、踊り希望申し込みのサインをさせた。
この映画では、簡単な白いカード風の手帖に踊った8人の男性の名前が記されており、一話ごとにこの手帖が写しだされ、男性の名前にスポットライトが当てられている。

主演女優マリーベルは実人生で1900年生まれ,この映画制作の1937年に37歳のクリスちーヌを演じている。
20年前1919年(ちょっと計算が違うんだが?)16歳のときのプルミエル・バル(最初の舞踏会)で踊った男性たちを訪問するという話だから、何か私たちの年齢に重なるところがある。

舞踏会は最近TVでウィーンのオペラ舞踏会が紹介されている様に、男性ホワイトタイ燕尾服、女性白のイブニングで
「灰色のワルツ」を優美に踊る。

最初の幻想の舞踏会で、クリスチーヌのベッド辺に現れるロベールリナン演ずるジェラールこそ、彼女の恋人であった。我々観客は見落としてしまうのだが、ロベールリナンはこの映画の結末に、ジェラール・ジュニアー=ジャックとして、
最後にも登場する。

マリーベルもロベ−ルリナンも戦中はナチに対するレジスタンスで、とくにロベールリナンは従軍、果ては銃殺された。

クリスチーヌは老地主の死に際して、老地主との心無き結婚で失われた青春20年を振り返りに、
最初の舞踏会のパートナー8人を訪問する。
彼らはみな彼女に ”toute la vie”生涯かけて あなたを愛します。と囁いた。


主演 マリーベル(クリスチーヌ役)
   
    最初の舞踏会の幻想   弦楽・”灰色のワルツ”が話題を呼んだ。
    ロベールリナン(ジェラール) 最初住まい不明。

    
    第一話 フランソワーズ・ロゼ (失恋死したジョルジュ・アンドレの狂母)
    第二話 ルイジューベ(昔ピエール〜今はジョー)弁護士志望〜今はボス
          ベルレ−ヌの詩を口ずさんでいた。
    第三話 アリボール (昔アラン〜今はドミニク)作曲家志望〜今は神父
    第四話 ピエール・リシャールウィルム(エリック)作家志望〜今は山男
    第五話 レイミュ(フランソア)政治家志望〜今は町長、不良養子がからむ。
    第六話 ピエール・ブランシャール(ティエリ)〜今は港の闇堕胎医、薬物発作を起こす。
         斜めの画面が話題を呼んだ。
    第七話 フェルナンデル(ファビアン)〜故郷の手品好きの美容師
    
    現実の舞踊会 デヴィユー娘がいる。 ジンタ風灰色のワルツ
    ロベールリナン(ジェラール・ジュニアー=ジャックのデヴィユー)


一話毎に心を打つ台詞がある。
年齢の差、二十歳のときに見た感懐と八十五歳で見るのとでは、また各人各様に感想は異なる。
現代社会では、ファンタジー、サスペンス、スペクタクル、エンターテインメントと大スクリーン、大音響で迫る映画が多い。
「舞踏会の手帖」
は芸術映画という物の中にはいるものだろう。       F I N
130分  ★★★★★