あ と が き

 一、此の企画を聞いてから改めて資料となる講演の記録を読み込んで行く段階で、此の論集は講演の記録が学説史であると共に、当時の教授の人間的な風格とか関係とか一般的に知られていない挿話等も含まれているので、一橋の学風の流れをなまの姿で肌に感ずる事が出来ると共に、今更ながら学園の土壌の豊穣さを思い知らされた感を深くした。

 一、講演記録の中の 「質疑応答」部分にもかなり格調の高い質問が含まれていたが、ページ数の制約もあり、講師の本論の論旨を補足すると認められる部分のみを(補)という形で残し相当の部分を割愛せざるを得なかった。

 一、なお、この講演会は昭和五十六年五月増田教授の「一橋の学問とその歴史的展開」を第一回として、その後おおむね月一回の割合で開催され、今でも継続している。編集に当たっては、第一回から昭和五十九年十二月までの分を、一応部門別にまとめて収録したもので、各論文の掲載順序と講演が行われた順序とは異なっている。従って各論文の末尾にその講演が行われた日付けを念のために付記した。

                                                     脇 坂 泰 彦
                                                     吉 川