[12月クラブ通信]平成18年(2006)8月号第122号

近 況 ・[自動楽器

2組 鵜澤昌和

最近の世相については、納得しかねることのみにて、わが国は今後どうなるのか誠に、不安であり、
また国の将来のために若くして命を捧げた同胞の死は一体何であったのかと心痛ばかりであります。
これらの事について書きたいことは多々ありますが、
この度は差し控え、簡単に近況を記させて頂きます。

周囲の多くの方々から、前代未聞の愚挙であり暴挙であるとして呆れられたり反対されたりし、
自分でも暴挙であると思う事に敢えて踏み切って、
目下取り組み中というのが近況であります。

暴挙の内容は、
三十年程住んだ家を取りして二軒の家を建てるというもので、
−軒には私共夫婦が住み、隣の一軒には未亡人となった次女が住ひという計画でありますが、
あと僅かしか生きられぬ私共が、
ケア付きホームに入所するとか、賃貸マンションに移るのであれば理解できるのが、
家を新築するなど正気の沙汰とは思われぬというのが周囲の一致した声であります。

ではなぜこのような愚挙に踏み切ったのかについては、
当然のこと乍ら考え得る限りの選択肢の中から熟考の末に得た結論であるということにとどめ、
多くの理由のなかのひとつを記すことと致します。

私は以前から
自動楽器に関心があり、
とくに十九世紀末から二十世紀寵前半にかけて欧米で多く製作された
紙ロールを用いて自動演奏するものに強い興味を持っております。

しかしそれらを入手するのはあきらめて居りましたが、
偶然の機会から二、三の珍らしいものと相当多数の紙ロールが手に入り、
それらは倉庫に預けたままとなっております。
これらの楽器は場所をとり、しかも音が出るわけですから、ホームやマンションには置けません。

そこで、たとえあと僅かの期間でも自宅に置いて各種のロールで演奏を楽しみたい、
というのが今回の暴挙のひとつの理由であります。

本文を読まれた十二月クラブの方々は、
恐らくただただ呆れるばかりかと思いますが、
もし計画通り家が出来ました時には、
自動楽器の古き良き時代の音を聴きにお出掛け頂き度く思います。