“信州伊那の近況”        3組 宮下八朗

 現在、世界的金融経済の急変で大打撃を受けている自動車工業や電機関連産業の下請工場が国内では特に集積している信州伊那地方は、ただいま、景況激震の眞只中におります。

 そうした環境の中で、僅かでも光明を探せば、明るい将来への希望が見えています。まず伊那です。昨年は好天に恵まれて、梅、梨、桃、林檎(リンゴ)、柿、葡萄(ブドウ)、苺(イチゴ)などが豊作で市場を大いに潤わせました。

 また、高原野菜や花弄などの施設園芸も盛んですし、穀倉地帯の主役の米、麦も豊作でした。

 さらに上記の農業関係ではなく、このほど開催された中部電力(名古屋本社)の高圧送電線に関する会合に出席して、力強い報告が聞けました。

 されは地上の上空に架設する高圧送電線の危険防止のために、地表の利用を制限する地役権に対して電力会社中電が地権者に支払う地役権料は膨大な額に上ることであります。

 また送電線の架設に支障する樹木の伐採補償金は、この不況下では早天の慈雨の如く喜ばれています。また、大量の間伐材は建築用合板に、あるいは、再製紙用に利用されるな
どと、色々報告がありました。

 昔は、山の管理人がいて、常時見廻り、山林の盗伐や乱伐で樹林が枯死することのない様にと補植に務め、また、間伐材で椎茸の栽培を考えるなど、土と水の保全を忘れずに、森林の自然維持を守ってくれた有難さを、いまさらの如く痛感しています。

 この経済不況を、天から与えられた好機と考え、林業や農業の魅力と重要性を、もっと、若い世代に、アピールして、積極的に参加すると言う気運にしたいものです。

 信州伊那は南と中央の二つの、アルプスが あり、温泉もあり、古い伝統の文化も伝承されていて、調和のとれた魅力一杯の故里であり続けております。