近 況 随 想
      老人ホームについて
              7組 澤登源治


 この7月に老人ホームに入居した。ここ数年足が弱り杖をついてもヒョロヒョロ歩きで外出も出来ず、家族会議の結果次男が小生の老後の介護を買って出てくれて勤務地の筑波市に近い土浦市の老人ホームを見付けてくれ入居した次第である。
 土浦市はクラスメートの柴沼君の出身地であり柴沼醤油醸造(株)は土浦市の観光案内にも掲載される程の名門の老舗であり土浦市の特産品として盛業中である。確か御子息があとを継いでゐる筈である。
 また土浦は霞ヶ浦に面し‘‘七ツボタンと櫻に錨今日も飛ぶ飛ぶ霞ヶ浦にや”と歌で有名な海軍予科練の発祥地である。小生も戦時中に海軍で配属された空母赤城やマーシャル群島ケゼリンの航空隊で多数の海軍予科練出身者の花々しい活躍や或ひは戦禍に散った若者達を回想し一種の哀感を覚える土地でもある。
 土浦市は現在人口14万人程であるが隣接の筑波市の人口約20万に押されてゐる様な気がする。海軍カレーとラーメンとレンコンが名物では発展の望みは少ないと思はれる。
 老人ホームは霞ヶ浦の湖畔に建ってをり窓外から何もさえぎるものがない広大な霞ヶ浦の絶景が堪能出来て、日の出は勿論、風によし、雨によし、雲によし霧によしと様々な風情を示して倦きることを知らない。介護保険により三食掃除洗濯は規程の補助が出るので大助りである。従業員のみならず看護夫や看護婦の人達は眞に礼儀正しく親切で敬老精神に溢れてゐるのに一驚した。入居してゐる人は若い時に辛酸をなめ人一倍の努力をして働らいた人達であり今は老人ホームで老後の憩ひを求めてゐる様に見受けられ、謙虚で干渉
する様なことはせず静かに安楽な日々を送ってゐる。
 老人ホームは8階建であり3階から5階まで約25名の人達は自分自身で入浴、ベッドメーキング、食事の出来る人達で2階は車椅子の人達、1階は完全看護の人達で全部で40名〜45名程度でホボ満室である。
 老人ホームに入居するには介護保検の認知を受けた方が何かとベターであり、認知度には要支援1と2、要介護1から5まであり、計7段階あり数字の多い方が重度であり保険の補助が多額である。
 小生もこの6月に杉並区役所で認知度を検査され要支援1に査定され、更に更新期のため、この9月に向ふ一年有効の認知度の再検査を受けた結果再び要支援1であった。介護保険の補助が少いのをうらんでよいのか認知度の良いのを喜こんでよいのか判らない。いづれにせよ天命に従ひ自然体で成行に任せて気楽に余生を過したいものと念願してゐる。
 鈴木幹事のお誘ひもあり拙文を書いた次第である。諸兄の御健勝を祈念します。
        (平成23年10月)以上