Just a Song at Twilight  (Love's Old Sweet Song)



1. Once in the dear dead days beyond recall,
When on the world the mists began to fall,
Out of the dreams that rose in happy throng
Low to our hearts, Love sang an old sweet song;

  And in the dusk where fell the firelight gleam,
  Softly it wove itself into our dream.

思い出の彼方の愛しくも去りし昔、
この世にもやがおりはじめた頃
覚めし 夢に現われるは幸福の数々
私たちの心に静かに、愛する人が歌った懐かしく妙なる歌;

  宵闇が迫り明りが灯される頃、
  そっと私たちの夢の中で歌が織りなす。

Chorus:
Just a song at twilight, when the lights are low,
And the flick'ring shadows softly come and go,
Though the heart be weary, sad the day and long,
Still to us at twilight comes Love's old song,
  Comes Love's old sweet song.

黄昏時の歌だけが、日の光が弱まる頃の、
ゆらめく影は優しく現れては消え、
たとえ心が疲れ切り、悲しく長い一日としても、
いまだに私たちには黄昏時には愛の懐かしき歌が訪れる、
  愛の懐かしく妙なる歌が訪れる。

2. Even today we hear Love's song of yore,
Deep in our hearts it dwells forevermore.
Footsteps may falter, weary grow the way,
Still we can hear it at the close of day.

  So till the end, when life's dim shadows fall,
  Love will be found the sweetest song of all.

(to Chorus)

今日でも過ぎ去りし愛の歌が私たちには聞こえ、
私たちの心の奥深くにいつまでも生きている
歩みはよろめくようになり、疲れも増してくるようになった、
それでも私たちには一日の終わりに聞こえる。

  だから最後となる、いのちの暗き影がさす時まで、
  なによりも妙なる歌に愛する人を見つけることが出来るだろう。


(コーラスへ)

※ 別名 Just a Song at Twilight

甘く哀しみのあるノスタルジックな雰囲気のアメリカで人気のあるバラードだが元は英国で発表された歌曲であり、アイルランドの民謡と言う人もいる。
19世紀中ごろに作られたようだが 1884年まで出版されることはなかった。しかし英国で楽譜が出版されるやいなや、またたくまにアメリカ中に知れ渡ったという。

人生も終わりに近づいた老人が若き日の恋人の思い出に毎晩ひたる、というイメージが思い浮かぶが解釈は人さまざまだろう。

歌詞はあいまいで両義にとれる表現があり、いくつか訳に迷う所が多い。中でも1番の歌詞のヴァースは、ほとんどの行でその意味と訳に悩んでしまう。
いくつか例を上げると、
● 1番のヴァース2行目の、When on the world the mists began to fall は一体どういう意味か? mists は涙(妻の死や、恋人との別れ)などを隠喩しているのか?
● 1番のヴァース5行目の、And in the dusk where fell the firelight gleam は
 in the dusk where fell, (then) the firelight gleam と構文解釈するのか。firelight はろうそくの炎だろう。コーラス2行目の flick'ring = flickering も揺らめくろうそくを意味するのだろう。
● 1番のヴァース6行目の、Softly it wove itself into our dream の it, itselfは、夢の中で聞こえた歌と解釈した。
● タイトルにも含まれる Love は「愛」とも「愛する人」とれる両義性がある。どう解釈すべきか分からないが、訳では場合によって「愛」「愛する人」と分けた。

● 頻繁に出てくる「私たち」 (we, our) というのは誰をさしているのだろう? 直接的に歌の人物と一緒にいる人間(妻)を指しているとも取れるが別の解釈も可能だろう。

調べると we には子供や病人に親しみ、励ましをこめて you の代りに使う we や、君主が自分を指すときに使う royal 'we' 、新聞の論説などで筆者が社を代表して述べる editorial 'we' などいくつかの we がある。そして、論文などでは筆者が意見を述べる場合、I は使わず、筆者と読者を指して we と使う author's 'we' というものがある(この場合は訳す時に無理に代名詞を入れなくてもいいらしい)。
そしてこの歌の we は author's 'we' のように聴衆の共感を呼ぶために we と言っているのかもしれない。

個人的なイメージで全くまとはずれな解釈かもしれないが、この歌の we は老人と彼の心の中に生きている亡き恋人や妻を指しているように思えてしまう。

作曲のモロイはアイルランドの弁護士であるが、彼は3つのオペレッタを書きまたアイルランド民謡の収集&監修をした人だという。

作詞: ジョージ・クリフトン・ビンガム George Clifton Bingham
作曲: ジェイムズ・ライマン・モロイ James Lyman Molloy (1884)



 https://www.youtube.com/watch?v=Io1Gxbu5uCk