痛風と共生 7組 鴨田保美

 

 1983年(昭和58年)2月下旬右足拇指に痛風が発症し東京女子医大の御巫(みかなぎ)先生の治療を受け今日で18年になる。その間一度も発作なく、今では痛風患者である事を忘れてしまいそうだ。

 当時、痛風に就いては全く無智で遺伝性であるとか、美食から来る為に帝王病と云われるのを耳にした程度で、自分には関わりのない病であると思って居たのに、或る日突然にその病がわが身に降りかかって来て全く驚いた。

 先生は痛風は現在の医学界では残念乍ら完全に治す事が出来ない一生の病気であるが、この薬(ユリノーム)を1日2錠、定時に継続服用すれば痛みを抑制し発作もおきず食事は勿論アルコール類も従来通り飲用可と云われた。

 当時毎日ビール、水割り等を飲んで居り、仕事柄夜の付き合いが多いので、飲みたさに薬の服用は厳守した。当初は月2回血圧、尿の検査、年2回は血圧、尿は勿論、心電図、レントゲン等の全身検査が行われた。

 1994年10月からユリノームの量は1日1錠となった。

 1995年2月初旬、胃の内視鏡検査で異状がある故、虎ノ門病院で精密検査を受ける様にと紹介状を戴いた。同病院の精密検査のため2月22日入院、検査結果は食道ガンの疑あり、と言われ3月10日手術と決定した。

 食道ガンと言われた時は全く驚天動地で大げさ乍ら生きた気持がなかった。これまで健康で内科治療を受けた事なく、胃腸は健全、食欲旺盛で咽喉に痛みなど全々なく、他にも異状自覚症皆無で、食道ガンとは全く予期しない病に唯々驚く許りであった。

 手術は約8時間要したが無事完了。

 5月20日退院。

 入院中は点滴のみで抗ガン剤その他の薬剤は全々服用せず退院後も同じ。

 退院後速に御巫先生に報告、先生から「よかった」「よかった」のおよろこびの言葉を戴き感謝感激であった。その日から更めて「ユリノーム」の服用を開始し現在は1日半錠を従来通り時間厳守で続けて居る。

 痛風を患った為に御巫先生の治療を受け、食道ガンの早期発見、手術の成功、術後6年経過の現在、再発転移の徴候なしと云われよろこんで居る。これは総べて痛風のお蔭である。

 が、昨年1月急性気管支炎と肺気腫の合併症を患い約3週間入院、退院後疲労甚しく急速に体力低下し遠出は出来ないが、痛風との共生で元気を回復し残り少い人生を有意義に過ごし度い。