前回の吉田君のエッセイはご自分の経験も踏まえ、的確な指摘をされていて全く同感です。特に若者IT技術者の育ち方がモラールを含め日本には問題が多すぎます。日本の20代のIT技術者の60%から85%がエントリーレベルのスキルしか持ち合わせていない。高等教育機関、企業での高度な知識・スキル修得の体系的教育がきわめて重要な課題となっています。
僕は卒業後、外資系のコンピュータメーカーでプログラマー、システムズ・エンジニア(SE)、プロジェクト・マネージャーとソフトウェア技術畑を38年間駆け抜けて、今年から自由を楽しむ身になりました。
大学時代 僕は特にコンピューターに興味があったわけではありませんが、当時東洋高圧におられた、故石原善太郎先輩の電子計算機入門の講義を受けたのは何故か鮮明に覚えています。当時は、関連する授業は少なかったし、情報サービス・ソフトウェア産業の経験者は大学にはいなかったので民間の方にお願いしたのでしょう。それにしても今思うと自慢できるくらい勉強しませんでした。
昔はSEと呼んだ職種を今はIT(Information Technology)技術者と呼ぶようになりました。
1960年から80年代はユーザーとして企業や官庁が莫大な設備投資と、人件費を使い大型コンピュータシステムの手作りの開発をやりました。同様の業務を行う銀行が各行固有のシステムを作ったのですからコンピューター業界は潤いましたが、大きな無駄使いだと受益者ながら思っていました。
僕もその渦の中で、徹夜も辞さない不屈の精神と体力で頑張って数百億円の都銀のオンライン・システムの開発をやりました。プロジェクトの最盛期には開発メンバーが、1600人もいる大掛かりなものもありました。プロジェクトは大変ですが必ず本番稼働日が来ますから、それに集中してもの作りをする喜びがあったのです。よき時代の流れの中で、楽しい仕事と達成感を味わってきました。常に後ろにいた団塊の世代が我々を助ける形で頑張ってくれました。
それが、『大型システムの金食い虫』に反発するかのように、分散システム、パソコンの低価格化・普及、ソフトの充実、インターネット接続にかかるコストの低下などで流れは変わって行き、ユーザーが個人にまで浸透していくスピードは実に目を見張るものでした。
1990年代がその爆発的な時期です。皆さんが使っている、インターネットは、もともと1969年にアメリカの4つの大学・研究所を結んで始まったネットワークです。日本では、商用利用については1993年に郵政省から許可され、運用されるようになりました。
ホームページは1991年から使用されていましたが、文字データのみの扱いでした。また、1993年には、画像データも扱えるホームページ閲覧ソフトが開発され、インターネット人口が爆発的に増加しました。
1995年 MS-Windows 95が発売され、 WWWやE-mailが本格的に家庭で使われるようになりました。皆さんも会社で早い時期に使われたのは、これやWindows98でしたね。
その後も、パソコン自体の価格の低下、ソフトウェアの進歩などがあり、企業のみならず一般家庭でもインターネットを使用することが一般的となりました。
35周年の記念大会を前に僕はS42年会の事務局長を仰せつかっていましたが、E-Mail所持者を調査し連絡の主流がE-Mailに変わり、幹事会では我々の為のHPの作成を満場一致で可決しました。皆さんはHPをよく閲覧して呉れていますが、投稿はまだ不十分です、HPは鮮度が必要だと思います。開けてみたら、前に見たり、読んだりしたもので変化が無いと見たくなくなるのです。掲示板も利用して、もっと書き込みがあるといいなと思います。種々の連絡もE-Mailのみが多くなりました。 時間と経費が節減できるのです。
今日現在、ある時期からの我々のHPのアクセス件数は25000件弱で、かなり浸透してきた気がしますが、掲示板にいたってはその十分の一の3000件強です。10年前あるいは5年前、メールは受けるだけだったS42会の仲間が今や、パソコンを武器として、百科辞典代わりに、画像の整理、株の取引、講義資料、自分の生涯学習の整理など色々な分野で利用しているようです。ただ、その実態はよく分からないのです。皆さんの経験や、疑問・質問を相互に情報交換するともっと楽しくパソコンと付き合える気がします。
時代は、Web1.0からWeb2.0の時代と移り個人のブログなどから体験を共有する集合知がビジネスにまで影響を与える機運が高まっているといえます。参加するユーザーは善意がベースになるのは当然ですが、常に時代の流れを悪用したり、モラールに反した行動をするものが後を絶たないのも困ったものです。我々も時代に取り残された老人にならないよう、気持ちを若く持ち、新しい事にも好奇心を持って立ち向かいたいですね。色々なディバイス(PC,モバイル、TVなど)が連携してかつ、双方向になっていくのですからね。
ただ、自戒をこめて,必要以上にパソコンやTVに向かうと、目は悪くなるし、健康の為には良くないので、特にリタイアした人にはバランスのとれた、上手なPCなど電子機器の利用者になってほしいと思います。そして、自分で出来なくても受信代行や、HPを見てくれる代行者の子供か孫を近くに確保して欲しいと切望します。さもないと将来幸せの一部を享受できないかもしれません。
残念なのは、この呼びかけを皆さんで無く、我々のHPを見ていない仲間に伝えたいのです。 |