2001年度
後藤ゼミでは学生の希望により、裁判所か刑務所を訪れます。去年は刑務所見学だったこともあり、今年は東京地方裁判所本庁(霞ヶ関)に傍聴に行きました。7月10日火曜日の午後1時に裁判所に集合し、1時半から約1時間法廷で傍聴しました。その後別室で裁判官の方から説明を受けたり、質問に答えていただくことができました。
まず傍聴については、人数の都合で2つの法廷に分かれました。詐欺事件と強盗未遂事件でしたが、以下は報告者が傍聴した詐欺事件についての感想です。
公判手続はおおまかにいって、冒頭手続、証拠調べ手続、弁論手続の順に行われます。冒頭手続の起訴状朗読により、被告人は無銭飲食をして刑法246条の詐欺罪で起訴されたことがわかりました。このとき、検察官があまりはやく話すので面食らいました。
そして証拠調べ手続へと進み、裁判官・検察官・弁護人と被告人のやりとりから、被告人は以前にも同じ罪で起訴され執行猶予中であったこと、失業中でお金はないが空腹に耐えられずやったこと、支払意思がないのにラーメンやビールを注文し2時間以上飲み食いしたこと、などがわかりました。このとき、検察官が、被告人の、当事件とは無関係な前科や職場でのトラブルを述べ、弁護人もそれに異議を唱えないのに疑問を感じました。もっと驚いたのは、弁護人が法廷で「君の行動は理解できないよ!」などと激しく被告人を叱責したことです。もちろん、被告人が生活保護の制度すら知らなかったことを主張したりもしていましたが、叱責のインパクトが強すぎて、あまり弁護らしくないなあ…と思いました。
最後に、弁論手続で論告・求刑、弁護人の最終弁論、被告人の最終陳述があり、結審しました。(判決の言い渡しは別の期日に行われます。)
私たち傍聴者が退廷しようとしていると、裁判官の方が「今の事件について少し話しましょうか」と言って、裁判官席からおりてきて、いろいろお話してくださいました。無銭飲食は繰り返されやすいこと、有罪判決を受けた人の社会復帰の問題などでした。裁判官の方は非常に多忙で余裕もないのだろうと勝手に思い込んでいたので、意外な出来事でした。
つぎに、別の法廷に全員が集まり、そこで説明担当の裁判官の方に裁判の仕組みなどの説明を受け、質問にも答えていただきました。法律の問題のみならず、裁判官の政治的活動の自由についてや、無罪判決は出しにくいのかといった、かなり広範かつ答えにくい質問にも、丁寧に応じてくださったのが印象的でした。
以上が裁判所見学の大体の内容です。全体を通して思ったのは、裁判所はなかなか親切に対応してくれるのだな、ということです。堅苦しく思われがちな裁判所ですが、見学に行くことで、一般的なイメージも少しずつ変わっていくのではないでしょうか。