日時:2003年6月4日(水)13時30分より
場所:東京地方検察庁
参加人数:15名(先生含む)
天候:雨

 検察庁とは、検察官の行う業務を統括するところで、最高検察庁(東京)、高等検察庁(東京・ 大阪・名古屋・広島・福岡・仙台・札幌・高松)、地方検察庁(都道府県庁所在地および函館・旭川・ 釧路)、区検察庁(全国主要市区町)があるほか、必要に応じて高検および地検の支部があります。

 今年度の見学は、このうちの東京地方検察庁(以下、東京地検)で行われました。ちなみに、同じ 建物内に最高検、東京高検も入っています。ゼミ生の中に検察官志望者が多数いることもあり、みな 熱心に担当の方の説明に聞き入っていました。

 初めに案内されたのは、地下3階にある証拠品保管庫です。実際に押収された覚醒剤やトルエン を見せてもらい、「買っちゃダメですよ」と注意も受けました。部屋によって様子は違い、一定の室温 ・湿度に保っているもの、段ボールに詰め込まれて山積みになっているもの等があり、証拠品の性質に よって様々な保管方法をとっているようです。その広さは東京地検の保管庫全体で、東京ドーム5分の 1に相当するとか。‥いまいち広さがつかめないのは私だけでしょうか(笑)?

 次に案内されたのは、棟を移って東京区検が入っている建物の9階にある取調室です。取調室とは 言ってもここは検察庁なので、ドラマで見かけるような警察署の取調室とは違います。部屋は薄暗いの ではなく明るい感じで、イスはパイプイスではなくオフィスで使用するような座り心地のよいイスです。 カツ丼よりはパスタが出てきそうな雰囲気でした。見せて頂いた部屋は現在は使用されていない予備 のものらしく、実際に使用している部屋はパソコンが置いてあったり関係資料が山積みになっている そうです。

 さらに場所を移動し、赤煉瓦棟も見学しました。内部には法務資料展示室があり、お雇い外国人と 近代法典の編纂の歴史、新旧の赤煉瓦棟(東京大空襲によりほぼ全焼、のち改修)の模型などを見る ことができました。お雇い外国人と近代法典に関しては後藤先生による解説もあり、ボアソナード氏ら の功績の大きさを再認識できました。

 最後は、会議室を利用しての質疑・応答です。無罪判決が出たときの対応や、取り調べから自白 を得るに至るまでの検察官心理など、答えにくい質問にまで丁寧に応答して下さいました。応答の中で 特に印象に残ったのは、以下の3点です。@起訴するときは80〜90%ではなく、100%有罪と 確信した時のみ起訴する(かなり強い口調でおっしゃっていました)。A検察官は、周囲が思っている 以上に捜査活動をしている。B自分が取り調べをする限りは被疑者の自白が任意か否か分かるので、 なんとしても自白はとりたい、自白がないと安心できない。

 多忙なお仕事にも関わらず、予定時間を20分ほど超えて質疑・応答の時間をとって下さり、見学 は終了しました。厳重な警備が感じさせる緊張感の中で、常に笑顔で応対して頂いた東京地検の担当者 の方々には大変感謝しています。とても実りある見学となりました。

(文責:島村 7期生)