ゼミナール経営学入門
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★ゼミテンによる紹介 |
初版は1989年。第2版は1993年。そして10年経った2003年に出た第3版です。
いまさら説明する必要はあるのかというくらい有名な経営学のテキストです。
多くの大学の経営学の授業でこの本が教科書に指定されています。
日本経済新聞社から出ている「ゼミナール○○入門」の中でも売り上げは常にトップです。
さて、本題に入りましょう。
ゼミではこの本の章ごとについている章末問題をやりました。
時折やらない問題があったり先生の支持で問題に手が加えられたりすることもありましたが。
ちなみにこの章末問題、先生は「答えを想定せずに作った」そうで、「聞かれても答えを教えられない問題」があるそうな。
学生だけでなくビジネスマン向けにもなっているので、会社に務めていないと解けないような問題もあったり。
さらには経営学の問題のようなそうでないような問題もあったり、どれも骨太です。
自分が伊丹ゼミの学生だから言うってわけではないのですが、この本は非常にいい本です。
経営学の本というとやはりポーターやドラッカーなどが思い浮かぶでしょうが、
この本では彼らの理論も消化した上で日本の企業社会に合わせた形で説明されていたりするのです。
そのため日本で暮らしている私たちにはしっくりくるわけです。
そしてもうひとつの特筆すべき点は、「企業は生き物である」という主張です。
本来人間集団である企業組織の経営というのは多分に泥臭さを含んでいるものですが、
産業組織論がベースになっているポーター等の経営学にはそういった視点が少ないように思えます。
しかしながらこの本ではそういった人間関係への配慮、さらに国際化と政治的配慮など、
他の本には見られない独特な記述が多く見られます。
この本は「入門」であり、経営学の非常に幅広い範囲について概説しているわけですが、
3章の「矛盾と発展のマネジメント」はかなりこの本の独特な部分といってもいいでしょう。
アンバランスな状態の中でバランスをとろうとすること、オーバーエクステンション、
あえて均衡をぶち壊す戦略、様々にありますが、矛盾を解消し、新たなる矛盾に立ち向かうことが
経営の本質ともいえるかと思います。
値段の割りに分量が多く、お得ではありますが、その分量の多さゆえに読みきるのも一苦労です。
しかし、経営学を学ぶものであれば一回は手に取るべき良書でしょう。