Exit, Voice and Loyalty

★基本情報


著者:Albert O. Hirschman(プリンストン高等研究所名誉教授)
出版元:Harvard Univ Pr
価格:$17.50(US定価)

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最新書籍ブックレビュー+著者紹介(紀伊国屋書店)


★ゼミテンによる紹介

この本が出たのは1967年。もう40年弱経とうとしています。
しかし、この本の論理は、いまだに風化することなく、様々な本の中で紹介されているのです。

著者のアルベルト・O・ハーシュマンは現代の主流となっている経済学からすると非常に独特な意見を
持っており、その最たるものがこの本で書かれている「Exit」と「Voice」の論理であるといえます。
そして、その論理の主役となる二つの行動は次のように述べられます。

退出(exit):顧客がその会社の商品を帰るのを辞めたり、組織のメンバーが組織を脱退すること。

発言(voice):顧客や組織のメンバーがその組織自体に面と向かって不満を表明すること。

「Exit」はどちらかというと経済学的なアプローチであり、「Voice」は政治学的なアプローチです。
この二つは、どちらかに偏ってはよくなく、最適なミックスというものが存在するのです。
その論理について書かれたのがこの本です。
従来の経済学のように数式とかで考えることはあまりないと思います。
しかしながら、逆にそうであるからこそ難しい部分、従来の経済学の枠にとらわれない部分が多くあり、
非常に考えさせられる内容です。
伊丹先生曰く、「非常に素晴らしいことを言っているのだけど、残念ながらその異端なスタンスゆえに
彼はノーベル経済学賞はもらえないだろう」 ということです。

ゼミでは指定された範囲の内容をまとめ、その部分で扱われている論理で説明できる
現実の事象を取り上げて説明するという課題が課されます。
おそらく3年ゼミでもっとも大変なテキストであり、3年ゼミを象徴するテキストでもあると思います。
本の論理と現実の結びつきを見つけるという作業に、伊丹ゼミの特徴が際立って出ていると僕は思います。