「豪快な天丼を食べる」
2011年11月16日  本多

日本橋室町に昨年11月に開店した「金子半之助」に、ついに今日行ってきた。
数ヶ月前に東京新聞の小さなコラムで紹介されているのを読み、一度食べてみたいと思っていたのだ。実は数週間前に店を見つけようとしたが果せなかった。今回は地図をweb siteから打ち出していったので、比較的楽に見つけることができた。

この辺りに来ることは稀である。今日は戸田でボートを漕ぐ練習をした帰り道。通常ボートのOB仲間とは帰り道に戸田の蕎麦屋で昼食を共にするのだが、今日は合流せず、一途に天丼のことを思って、戸田-赤羽-上野-三越前と乗り継ぎ、一人で来たのである。 新聞には「11時の開店前から行列ができて混みあうから3時がねらいどころ」とあったので、2時半くらいをねらったが、電車と乗り継ぎが思ったより速く、1時56分に到着。行列は前方がL字状に、それに続く連中は道を挟んで反対側に立っている。前方は8名、後方の僕の前が8名というところか。

30分は覚悟しようと思う。今日はそれほど寒くない。20分たって、L字列の最後尾に動いたら、何と前方には8名でなく12名ほどいるではないか。そこにさらに20 分立つ。更に進んでL字列前方部に来てやっと座って(依然屋外)待つこと10分。結局50分屋外で待った。ただ、僕の前の息子さんを連れた60歳くらいのご夫婦と話していたので退屈はしなかった。彼らは2回目という。この店の社長の金子真也さん(32)は、お祖父さん半之助さん(20年前に亡くなったが日本調理師総連合会理事長だった)のお名前を店名にした、ということは新聞で読んでいたが、このご夫婦によれば「半之助さんは魯山人とも同じレベルでの交友があった」と言う。

また、東京新聞のコラムに出た後、テレビで紹介され、更に別の新聞にも出て、客が増え、2時間待ちもあるらしいと、このご夫婦は教えてくれた。

通りがかった中年の女性に尋ねられた。
「ちょうど通りがかったら行列ができているので、入ってみたいのですが、どのくらい待つのでしょうか?」
「私も初めてなのですが、30分くらいではないですか」と僕。かのご夫婦もうなずく。
「どうしようかしら」

「ちょうど通りがかったのは幸運ですよ。私のようにわざわざ来る人が大部分のようですから。我慢して待たれたらいかがですか? ここに新聞のきりぬきがあるからどうぞ」と僕。但し前述のように50分も外で待った。中に入って更に7分ほど待った。

待つ間店内をのぞくと、料理をつくる人は5名、カウンターは6名の席。
ずいぶん狭いと思ったが、2階と3階もある。それぞれ何名座れるのかは知らない。

座って待つ間、お品がきを写してきた。

天丼 880円
味噌汁 100円
飯大盛 100円
生ビール550円
生すだちサワー 500円

お土産
天丼弁当 880円
飯大盛  100円
がりごぼう(180g) 500円
揚げ玉 120円

これがすべてである。実はここへくるまで、880円の天丼はサービスランチで、夜は(23時まで)いろいろな天麩羅があるのかと思っていた。新聞の「3時ころがねらいめ」という言葉を、「ランチの最後」と思い込んでしまったのだ。
実際は、11時から夜9時まで、上記一種類の天丼だけ。たしかに表の店名のよこにも「天麩羅」でなく「天丼」と書いてある。

僕は1階のカウンターに座らされた。まず黒豆茶(これも研究の結果という)が出る。カウンターに甕が置いてあり、一つは大根と紫蘇のなます、もう一つは「がりごぼう」。すし屋ででる「がり」にごぼうの混じったもの。箸休めであるが、天丼がでるまで黒豆茶を飲みながら、これらの漬物を食べる。

さて天丼だ。丼からはみだした特大の穴子、イカと子柱の沢山はいった掻き揚げ、半熟卵、小さいししとう、のり、中くらいの海老が2つ。

これで880円。追加の味噌汁もたっぷり。

そとで待っている間、油の臭いが強かった。「油が悪いか、取替えを頻繁にしていないじゃないのか」と心配したが、店内にはいると臭いは強くなく、天麩羅も油が鼻につくようなことはなかった。

結論: 味はまずまず。お祖父さんのレシピ帳にあったという「江戸前丼たれ」もいける。ボリュームは満点。僕は普通盛の飯にしたが、大盛にしてもよかった。飯が絶対的に少ないのでなく、天麩羅のボリュームがすごいので、それに見合う飯の量を欲しくなったのである。有田焼のどんぶりは広め、上げ底になっているのは、底に空気を入れて保温効果を狙ったものという。

Cost Performance抜群。ここは、待ち時間が長く、近所のサラリーマンが「ちょっと昼飯に」というわけにはいかないだろう。僕のように年をとって自由に時間がとれる人には、おすすめだ。待つ体力と忍耐力は必要。これから寒くなるから、暖かい日を選んだほうがよい。

以上