2006 年 2 月 20 日   

  上海便り―最近目立つ韓国パワーなど  


恒友会の皆さんに大変ご無沙汰していますので、御挨拶がわりに、近況報告(上海便り)を貴送いたします。 皆さんお暇な折にでも笑覧願えれば幸いです。
三寒四温の時期に入っていると思うのですが、まだまだ寒い日が続いています。
オリンピックも見るものがなくなり、さみしい思いをしています。メタルが何も無いというのは一体どういうことなのでしょうか。これからの若者の奮起に期待したいところです。
冬のスポーツはスポンサーがつかないなどの事情もあるようですが、他の国はどうなんでしょう。国力の低下を表しているものでなければいいのですが。
茂住

1、韓国パワーのこと
 すっかりご無沙汰しておりますが、皆様お元気でお過ごしのことと思います。まだ上海にいるのか、などといわれそうですが、老骨に鞭打ち何とか元気にしておりますのでご休心下さい。上海も年中行事の春節の大民族移動の季節も終わり、平常に戻っています。今冬はことのほか寒さが厳しく、日本人駐在員の家庭ではエアコンでは間に合わずに石油ストーブを買い込んで暖を補った家も多かったと聞いています。日本も大変寒かったようですが、世界的に異常気象なのでしょうか。かねがね上海、東京の気候は同じと思っていますが、最近の天気をみていると上海が寒いと東京も寒い、東京が暖かいと上海も暖かいと日毎に連動するほど、両地の天気があまりにも似ているのに驚かされます。
 ご挨拶代わりに最近の中国における韓国パワーについてお伝えします。このところ韓国のプレゼンスが著しく高まっています。まずはビジネスマンや留学生の数の急増現象が起きています。これまでは、駐在員(含家族)の数でみると、一口に上海では日本人が約5万人と外国人(除く台湾約60万人)の中で一番多く、他方青島などでは韓国から目と鼻の先であることもあり韓国人駐在員が約5万人で一番多いといわれていました。しかし最近は上海でも韓国人駐在員の数が増え(昨年までは5千人程度でした)、韓国人の住むマンションや韓国料理の店がどんどん増えています。昨日も韓国系の不動産業者から、何を間違えたのか小生宅宛に部屋を譲って欲しいというチラシが入りました(残念ながら自分の持ち物でもないので売れるわけもないのですが、相手はかなり急を要しているのでしょう)。また上海の大学生に聴くと、大学でも課目によっては1クラスほとんどが韓国人留学生に占領されるケースも珍しくないそうで、その学生も「何故こんなに急に韓国人が増えたのか?」と自問自答するほどです。また観光地でも韓国人が目立ち、例えば黄山に行くと外国人は8割方韓国人です(韓国で黄山をテーマにしたテレビ番組が放映されたことも影響しているようですが)。日本でも流行っている、映画、テレビなどの文化面での韓流は今や中国でも一つの大きな潮流となり、この種のDVD、VCDなどが町中に溢れています。
 要するに今、中国(他の国に対しても同じかも知れませんが)に向かって物凄い勢いで韓国パワーが流れ込んでいるわけです。日本と同じように資源もなく、人的資源で国を興さねばならない韓国は目下日本以上に早いスピートで安い労働力、資源、市場などを求めて中国を始め海外進出に力を注いでいるように見えます。この点で韓国人にはいくつかの利点があるように思えます。@高い技術・教育水準、A海外進出への強い意欲、B高い語学能力、などです。中国で働いている韓国人で、中国に家や別荘を買い、一生をここで終える覚悟の人達が沢山いるとききますが、日本人でそのような人はあまり聴いたこともありません。また朝鮮民族には3カ国語、4ヶ国語をこなす人達も結構多く、もともと語学に堪能な人種のような気がします。
 加えて、今まさに中韓蜜月時代です。靖国問題で日本がもたもたしている間に、日本を共同の仮想敵国(?)とし、政経両面で関係を強化しています。いろいろな面で韓国が中国と取り組み易い条件がかつてないほど整っています。外交関係はともかくとして経済面では日本も中国向けの鉄鋼や機械等の輸出で潤っていることは周知のことですが、韓国はこれ以上に経済を始めあらゆる面で果実を享受しているように思われます。
 政冷経熱といわれる日中関係はややもすると政冷経冷にも転ずる危険性もありますが、他方で政熱経熱の中韓関係はますますその結びつきを強めており、これを足がかりにした韓国の一層の発展は日本のアジアでのプレゼンスを相対的に弱め、やがては日本を追い抜き、追い越すという可能性も秘めているようにも感じます。油断は禁物です。
 日本は靖国がネックとなって外交面ではまことに惨めな現状ですが、こうしてまごまごしている間に、韓国は国際経済面でも着々と点を稼いでおり、またこのことにすら日本が気付いていないように見えることはなんとも情けない話です。上海から見ていると、今日本に求められるのはまずは外交面での立ち直りであり、また最近の韓国人ビジネスマンや留学生パワーなどに見られるような進取の気性と熱気ではないかと思わずにいられません。

2、バレンタインデー
 2月14日のバレンタインデーは中国でも「情人節」と言われてこの一、二年日本と同じように一つの行事に定着してきました。「情人」というと日本語では一寸聴こえがよくありませんが、要するに「恋人の日」という意味です。西洋の起源に順じて、上海では男性が女性(恋人、奥さん)に赤いバラの花を送るのが一般的なようですが、中にはバラを歳の数だけ送るという人もいて何十本の抱えきれないほどの大きな花束をもらう女性もいるようです。今年あたりは日本に習ったのか、女性が男性(恋人、夫)にチョコレートを送ることも流行り始め、デパートやお菓子屋さんの店先はチョコレートを買う若い女性達で大賑わいでした。日本と同じように製菓会社の宣伝に乗せられているのでしょう。
 当日弊社でも女性社員達から男性社員一人一人にチョコレートのプレゼントがあり、正直ビックリしました。会社が始まってまだ3年目なのに義理チョコが始まるなどこれは弊社も相当進んだ会社になったものだと感心しきりで、早速女性達の間を回ってお礼を言って歩きました。彼女達の反応が鈍いので一寸変だとは思いましたが!
 数日後会社の支払い伝票の束に判を押していましたら、会社がチョコレートを購入したという伝票の記録が出てきました。妙だなと思い念のため問いただすと、何と数日前に我々男性達がもらったチョコレートは実は会社で購入したものだったのです。日本滞在経験のある総務部長さんが気を利かせて女性社員に買わせて配ったものだったということが判明しました。彼女達にお礼を言ってしまい、しまったと頭を掻くことしきりでしたが、よくよく考えれば、3月のホワイトデーにはお返しの必要もなくなったわけで先ずは良かったと笑い話になり、何ともほろ苦い味のするバレンタインデーの一幕でした。
 海外の目ぼしいものには真っ先に飛びつく新らしもの好きの上海人ですが、彼女等の個人主義(利己主義)的発想から推せば、日本のような博愛主義的義理チョコの習慣はやはり根付かない?というのが小生の見方ですが、さてどうなりますでしょうか?