10期生 西野 美央
株式公開の決定要因
わが国資本主義経済のもとで、多くの企業にとって株式の公開、それに続く上場は一つの大きな目標となっている。一方で、発達した資本市場において自社の株式を上場させるということは、企業の経営が外部からの厳しい圧力に曝されるということでもある。これより、実力的には上場可能にも関わらず未上場を選択する企業が数多く存在している。
以上をふまえ本研究の目的は、株式公開を選択する企業の決定要因を分析する事である。
2005年のマザーズ市場を対象に、企業の株式上場には、売上高経常利益率、レバレッジ比率、売上成長率が影響するとして仮説を立てた。実証分析の結果、上場可能性に対して売上高経常利益率、売上成長率は有意な結果が得られず、その原因として比較対象とする未上場企業の選定方法の問題を挙げた。一方レバレッジ比率は有意に負に推定された。
具体的にどのような企業が上場を実施するかについては、それぞれの企業の特殊な条件による所が大きく、全ての企業に当てはまるような一般的な法則が存在するとは考えにくい。本研究でも、企業の上場要因を充分に検証出来たとは言い難い。しかし経済的動機に基づき決定される企業の上場決定要因を理解する事ができれば、企業の上場規制はどの程度必要なのか、といった論点に対する意義のある政策提言に繋がるだろう。