10期生 佐藤 怜
フランチャイジーのフランチャイズチェーン加盟要因
日本のフランチャイズ・ビジネスは昭和40年以来目覚ましい発展を続け、生活者に定着した便利な社会的機能として日々の生活に無くてはならない存在となった。ファーストフードを中心とした外食産業やコンビニエンスストアに代表される小売業のみならず、あらゆるサービス業の分野に幅広く浸透した。フランチャイズ・ビジネス先進国であるアメリカに比べるとフランチャイズ・システムの経済への浸透度は未だ低いと言えるが、その成長性は非常に高く、急速な発展推移を続けている。
本論文では、どのような要因が新たにフランチャイズチェーンに加盟しようと試みるフランチャイジーを増加させているのかという疑問を解消すべく、各フランチャイザー企業のフランチャイズ事業におけるデータを元に、被説明変数にフランチャイズ店舗比率を用いたトービット分析を行った。
その結果、店舗配置が地理的に拡散し、本部が効果的なモニタリング活動を行いにくい場合、フランチャイズ事業展開が志向され、プリンシパル・エージェンシー問題が日本のフランチャイズ事業において当てはまることが実証された。また、フランチャイズ契約内容がフランチャイジーにとってリスクの大きい固定ロイヤルティ方式である方がフランチャイズチェーンへの加盟が志向されることとなった。これはフランチャイジーがフランチャイズチェーンに加盟することへのリスクよりもその収益に目を向けていると考えられる。店舗売上高が増加するほど、固定ロイヤルティ方式であればフランチャイジーの収益も増加し、このことがフランチャイジーの加盟インセンティブを増加させると考えられる。
本研究の課題としては、フランチャイズ契約はデータ上の内容だけでなく、立地条件、敷地面積、資金、前職などによるところが大きいことである。この点を考慮した分析を行うことが出来れば、更に綿密な、より意義のある研究となり、日本のフランチャイズ事業の特徴や傾向をより明確に理解することが出来るだろう。