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10期生 鄭 瑛淳

Jリーグクラブにおける経営効率性の決定要因

 Jリーグが開幕してはや14年。この14年でJリーグは紆余曲折を経て成長してきた。そして近年、徐々にではあるがヨーロッパの各国リーグと同様にJリーグでも各クラブの経営面に注目が集まるようになってきた。2005年からクラブの個別経営情報が開示され始めたということや、浦和レッズという急激な規模の拡大を遂げたクラブの登場が、この流れを加速させている。こういったことを踏まえると、今後各クラブはただ強いチームを作るのではなく、経営面にもより注力する必要が出てくると思われる。
 そこで本研究では、Jリーグの各クラブの経営効率に影響を与える要因について分析する。
 分析の対象としたのは2005年と2006年にJ1に所属したのべ36クラブである。そこで、経営効率の高いクラブは①地域密着度が高い②親会社を持つ③近隣に他のクラブが存在する④Jリーグに加盟してからの年数が長い⑤競技面でチームが強い、という5つの仮説を立て、実証分析を行った。分析の結果、①③⑤の仮説が支持された。つまり、地域密着度が高く、近隣に他クラブが存在し、チームが強いクラブほど経営効率が高いということがわかった。
 この分析による大きな収穫は、Jリーグが各クラブの運営の方向性を示す指針としてスローガン的に掲げてきた「地域密着」が、各クラブにとっての足かせではなく、経営効率性の向上というメリットを生むものであるということを明らかにできたことである。Jリーグの各クラブは、地域に密着する中で強いチームを作り上げていくということが必要であると考えられる。

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