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11期生 渡邊 圭太

独占禁止法・課徴金制度の経済学的考察
―カルテルの不当利得と社会的損失の推計―

 本稿ではカルテルの社会的損失と不当利得の推計を行い、課徴金との比較等を通して課徴金制度の考察を行った。前段では、独占禁止法・課徴金制度を論ずるための制度的変遷、法的論点、課徴金の理論、カルテルの社会的損失と不当利得を推計した先行研究などを紹介した。続いて推計を行い、結果より、カルテル期の売上高に対する社会的損失の割合は小さいこと、価格引上げ率と社会的損失は比例関係以上の関係があること、カルテルの弊害が価格引上げ率よりも大きいケースは需要の価格弾力性が高く、社会的損失が相対的に大きいこと、現行の課徴金制度においてもカルテルの不当利得以上は徴収できていないこと等が考察された。従って、現行の課徴金制度でさえもその抑止効果は十分とは言えず、課徴金算定率の引き上げを主張する。算定率引き上げに際して、仮に現行の算定率から2倍程度引き上げたとしても、法学的な論点は回避できると考えられる。
 これらの結果から、Eコマース市場はまだ成熟しているとは言えず、現段階では既存市場の方が競争は激しいのではないかと考えられる。

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