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12期生 寺師 大策

政治的要因が予算構成に与える影響
-都道府県別のデータによる実証分析-

 本稿では、政治的要因は地方財政の構成に影響を与えているのか否か、影響を与えているとすれば、それはどのようなものであるかということを明らかにすることを目的とする。具体的には、首長の属性や地方議会の構成といった各地の政治的特性(知事の政派・前職の種類、議会の自民党・革新議席率)が、その地域の財政構造(本稿では歳出総額における各費目のシェア)にどのような影響を与えているのかを計量的手法で検証していく。
 歳出総額における各費目のシェア(本稿では民生費・農林水産費・土木費・教育費)をとるのは、限られた歳入の中でどのように予算配分するかという点において、政治的な要因による違いが出ると考えたためである。分析期間は1976年から2006年の30年間である。
 結果として、政治的ガバナンスが財政構造に影響を与えているか否かについては、それに関しては与えると考えて間違いではないと言える結果を得られた。
 どのような影響を与えているかということについては、自民党議席率が農林水産費率に対して正に有意、自治省出身者ダミーは民生費率と教育比率に対して負に有意、その他省庁出身者ダミーは農林水産比率に対して正に有意と本稿の仮説を支持する結果となった。
 革新知事ダミーと革新議席率が民生費率に対して負に有意と仮説と逆の結果となっていることに関しては、革新知事や革新議員の政治的な弱さが原因となっている可能性を示した。
 有意ではない結果に関しては、中央集権の下で地方の独自性が発揮しづらい環境にあることや地方財政の逼迫による歳入総額への制約、保革相乗り・オール与党化に見られる政党色の不鮮明さが原因となっている可能性を示した。

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