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12期生 八馬 健

オリンピック招致活動が株式市場に与える影響

 2009年10月2日(現地時間)、2016年夏季オリンピックの開催地がブラジルのリオデジャネイロに決定した。この招致レースには、東京が1964年以来2度目の開催を目指した東京が立候補していたが落選した。開催地決定の会議を行っているコペンハーゲンには、鳩山総理(当時)やオバマ大統領といった各国の要人が集結し、自国での開催を強くアピールしていた。なぜ、オリンピック招致に各国の要人が集結するのだろうか。
 1984年のロサンゼルス大会以降の五輪商業化の影響で、スポーツはビジネスとしても成長していった。オリンピックやサッカーW杯のような巨大スポーツイベントは特に高いブランド価値を持ち、大きな経済効果を生み出すとされている。近年の試算によると夏季五輪は約230億円、冬季大会は93億円という非常に高いブランド価値があるそうだ。 経済効果の面も大きく、2016年大会が東京で開催された場合は東京都のGDPの約2%に当たる1.6兆円もの経済効果 があると、東京の招致委員会は主張していた。かつてのオリンピックは、冷戦という構造の中で、国威発揚の場としての意味を強く持っていた。しかし、現在ではそれに加えて経済効果を目当てに、世界中の都市や国はオリンピックやW杯の巨額の投資をして開催地に名乗りを上げ、自国の要人を送り込むのだろう。
 オリンピックを招致する場合、その大会の規模ゆえに一企業や公共団体だけで開催するような大会ではない。オリンピックは大会基盤の整備多額の費用が必要とされるだけではなく、大会が確実に開催されることが求められる。それゆえ、大会開催は国家的なプロジェクトとなり、地方自治体の首長や国会の承認をも必要となる。
 それでは、投資家達はオリンピックのように巨大なイベントを開催することに対して、どのような判断を下すのだろうか。そこで本論文では、最近オリンピック招致に成功した長野大会の例と、失敗した今回の東京を例にして分析を進めた。

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