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12期生 山地 隆文

環境パフォーマンスが企業財務に与える影響
―環境効率・環境会計データからみた分析―

 1988年に初めて「地球温暖化」という言葉が使用されてから20年。2008年から京都議定書における二酸化炭素排出量削減義務の測定年となったが、現状での削減目標の達成は困難とされている。日本の二酸化炭素排出量の内訳を見てみると約5割が製造業部門からであり、年々企業に対する環境規制も厳しさを増している。これに対し、1990年代後半より企業もISO14001、環境会計、環境報告書などを導入し、それらを利用することで、事業活動に関わる環境負荷を削減し、環境リスクを低減しつつ事業の環境効率を高め、競争力や信用力を獲得することを目的とした環境経営を行っている。企業に環境経営の概念が導入され始めてから10年以上が経った今、その成果が出始めていてもおかしくはない。本論文では環境経営の成果という点に注目して、企業の環境経営の成果と企業財務との関係を分析している。環境経営の成果が実際に財務パフォーマンスの向上へとつながることが実証されれば、いろいろな事情で環境対策にまで手が回らない中小企業に対しても、環境対策が長期的視点で見たときに競争力の強化や財務向上へつながる、といったメッセージを送ることができるのではないか。これによって、大企業だけでなく中小企業も含めてより多くの企業が環境経営を行い環境負荷が低減されればと思う。

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